みなさんこんちは、jamです。
茨城県の蕎麦と言えば、もちろん常陸秋そば。
とあるオネエ系の巨漢タレントさんが、テレビ番組内でお褒めになった影響とかで、巷では常陸秋そばの知名度が急上昇しています。実際のところ、常陸秋そばは蕎麦の香りが強くて美味しいんです。
そんな、美味しい常陸秋そばを、江戸前蕎麦のスタイルでいただけるお店『一玄(いちげん)』をレポートします。
江戸前蕎麦について
江戸前という言葉には2つの意味がありまして、その1つ目の意味するところは「江戸湾で採れる魚介類」を指します。
江戸前寿司の「江戸前」はこの1つ目の意味ですね。
そして江戸前のもう一つの意味は「上方(つまり関西)に対する江戸のスタイル」。
江戸前蕎麦の「江戸前」は、この2つ目のほうの意味です。
で、その江戸前の蕎麦、独自の美学というかポリシーというか、ちょっとメンドクサイところがあります。
その美学ってのが実に独特。よく私たちが耳にする代表的なところで言うと、
- そばは噛まずにのど越しを楽しむ。
- つゆは辛い。だから蕎麦は『ちょっとだけ』つける。
- 蕎麦通ならもり。
- 大盛りを頼むのなんざ無粋。もりを2つ頼みな。
- 蕎麦屋に長居は無用。「おぅ、そば屋ぁ、お代はここに置いとくぜえ!」
などなどなど。
うーん、これはぶっちゃけメンドクサイ。
いわゆる蕎麦通ってやつなんですかね。
で、そんな蕎麦通の代表といえば、かの文豪、池波正太郎センセイ。
この方は、江戸前蕎麦をたいへん愛されていまして、以下のようなお言葉を残されています。
そばを口に入れてクチャクチャかんでいるのはよくねえな。東京のそばでね。
かむのはいいけど、クチャクチャかまないでさ、二口三口でかんで、それでのどに入れちゃわなきゃ。クチャクチャかんでたら、事実うまくねえんだよ。
たとえば東京の「藪」のそばなんかは、おつゆが濃いわけだから、全部つけられないわけだよ。
だから先にちょっとつけてスーッと吸い込むと、口の中でまざり合ってちょうどよくなるわけ。
センセイがおっしゃる「藪」とは、江戸前蕎麦の御三家「藪」「更科」「砂場」の「藪」の蕎麦。
御三家の中でも「藪」はそば汁が辛いことで有名です。
主役はあくまで蕎麦。
蕎麦をちょっとつまんでそば汁に付け、ゾゾゾッとすすり蕎麦の香りを喉に流し込む。
せっかちな江戸っ子らしい蕎麦の食べ方ともいえます。
なんというか、「乙だ」「粋だ」の世界ですね。
ま、そんなメンドクサい江戸っ子の美学はわきにおいやって、いちげんでは好きなように蕎麦をいただきましょう。
蕎麦をどっぷりとそば汁に付けようが、咀嚼しまくろうが、誰に迷惑をかけるでもないしね。
ヌーハラ?
そんなモン知ったこっちゃねえ。
一弦(いちげん)のそば
一弦においては、江戸の粋を押し付けらるようなことはありません。なので安心して良し。
なんせお店に入ってすぐ右手にはエレキギターが山のようにディスプレイされています。うーん、いきなり江戸からかけ離れた自由すぎる雰囲気。
こちらのお蕎麦は江戸前蕎麦の中でもいわゆる藪そばに近いですね。池波センセイがおっしゃる所の辛めのつゆに蕎麦をちょんとつけて頂くスタイル。いちげんのご主人は東京のそば屋に住み込みで修業されたそうです。
この日オーダーしたのは「ハーフ天重セット 大盛り」
注文して間もなくお蕎麦が運ばれてきます。
蕎麦。
均整がとれた蕎麦。手打ちではないのかも?それでも美味いんでおk。
そば汁。
やっぱり濃いですよ。塩気。それと鰹節の香りも。
もし、このそば汁をしょっぱいとお感じなら、蕎麦はちょっぴり数本程度をつまんで、汁には蕎麦をちょっと付けるようにして召し上がってみてください。
どれだけの蕎麦つまんで、どれだけつゆに付けるのか?それは自分の好きなように加減できますからね。そんな風に自分にとって丁度いい具合を探るのも楽しみの一つと割り切切っちゃいましょ。
池波センセイの「二口三口でかんで・・・」という下り。これって、蕎麦をちょっとだけつまんで食べるから「二口三口」噛んだだけで飲み込める。ガッツリと蕎麦を箸でつまんで食べるとなると、とても二口三口では飲み込めない。江戸前蕎麦はちょっとつまんで、ちょっと付ける。
海老天重。
海老がお重をナナメに横切ってます。どーんと。インパクトあるビジュアル。
ごま油と甘辛いタレのかおり。つまりはチョー美味そうな匂い。肉厚の海老と、しっかりとした衣によくなじんでる。海老天重はハーフサイズなのでご飯は薄くもってあります。なので見た目の迫力に反して意外とペロっといけちゃいます。美味しい海老の天ぷらなので、これはおススメです。
しっぽ。
海老のしっぽが、お重の角に寄ってそそり立ってます。立派な海老。車エビだそうで。
後ろにぼんやりと映るお漬物は市販品でしょうかね。ちょっと残念なケミカルカラー。
そばつゆ。
最後はこれです。これで〆。
蕎麦湯は花番さんに声をかけてください。じゃないと出てきませんので。
一弦にはよくお蕎麦を食べに行きます。あくまで「江戸前蕎麦」のスタイルにこだわっているこのお店が好きなんです。その自分を曲げないスタイルはまさに江戸の心意気。なんとも粋だねぇ。
一弦(いちげん)のメニュー
ハーフ天重セットがマイフェイバリット。
一弦(いちげん) の場所はこちら
佐和駅から2.3km。勝田駅から2.4km。どちらも徒歩だとほぼ30分。ちょっと遠いですね。
なんで、お車でのご利用が便利ですよ。お店の前と後ろに8台分ほどの駐車場があります。
営業時間など
定休日
金曜日
営業時間
昼 11:30 ~ 15:00
夜 17:00~22:00