待ちに待った新蕎麦の季節がやってきた。
やぁ諸君ごきげんよう。
ぼっちメシ研究所のジャムだ。
麦家へと向かう
今日のランチは、那珂市にある麦家(むぎや)。
麦家は、古民家を改装した蕎麦屋で、素晴らしいお庭を眺めながら、美味しいお蕎麦を頂けると評判のお店だ。
今日はその麦家に伺って、旬まっさかりの新蕎麦を頂こうと思う。
さて、季節は晩秋。秋もクライマックス。
燃え上がるような紅葉のなかで、最高の秋蕎麦を存分に堪能するとしよう。
ほどなくして、麦家に到着。
お店は通りから少し入った住宅地の中にある。
google mapの情報によると、麦家の開店時刻は午前10時30分。私がお店に到着したのは10時45分だった。
幸いなことに、まだ駐車場にはクルマが1台も停まっていない。
入り口の門の柱には「乳幼児の入店はご遠慮願います」の札。
この札を見た時、私は少なからぬ緊張をおぼえた。
なぜなら私は、まだこの世に生を受けて、わずか500ヵ月たらずの幼児にすぎないからだ。
そしてなにより、私も幼児たちと同様に、どちらかと言えば乳には目が無い方だ。
だから、私も立派な「一人前の乳幼児」だと言っていいだろう。
私ほど、ミスター・乳幼児と呼ぶのに相応しい男もそういまい。
それはさておき、小さなお子様は入れませんので、ご注意を。
ドキドキしながら門をくぐった。
ななな、なんと!
いきなりの分かれ道だ。
いったい、どちらに進むべきなのだろうか?
野生の勘を頼りに右に進むと、どうやらこの右側の道で正解だったようだ。
無事に古民家の入り口へとたどり着くことができた。
これは命がけのルポだ。ぜひ参考にしてほしい。
時刻は午前10時50分。
店の戸は開いているが、まだ営業を始めているような感じではない。
「ごめんくださーい」と声をかけると、女性の方が対応に出てくれた。
その女性がおっしゃるには、お店の開店時刻は午前は11:30だという。
えぇ!?
でも、Google map では午前10時30分だったのだが。
ネットの情報を鵜呑みにして、営業前にやってきてしまった。
そんな間抜けな私に対して、店員さんはとても親切に対応してくれる、
嫌な顔一つせずに笑顔で「でも、今日は11時10分くらいには、お店を開けられると思います」とのお言葉。
かたじけない。
日本家屋のこの感じ。
外の光と、家の中の陰のコントラストが美しい。
古民家は、今時の「光がたくさん差し込むお家」とは違った魅力がある。
しばらく素敵なお庭を周りながら待たせて頂くことにしたが、なんだか急かしているようで、申し訳ない。
そしてなにより私自身も落ち着かない。
写真を撮りながら、お店の準備が整うのを待つことにした。
紅葉の始り。
あと数日で素晴らしい紅葉になるのだろう。
今週はまだ色付きはじめ。見ごろはもうちょっと先のようだ。
薪ストーブ用の薪。
広葉樹特有の密度の濃い薪。
この量でも1月分の燃料にはならないだろう。
この素敵な庭の片隅には井戸の跡のようなものがあって、その中に小さな鯉が泳いでいた。
このステキなお庭の魅力を伝えるための言葉も持ち合わせていないし、写真を撮る腕もなければ、カメラも骨董品というありさま。
それでもポチリ、ポチリと写真を撮っていると、この店のご主人と思われる男性から声をかけられた。
「準備できましたんで、どうぞどうぞ中へ!」
さっそく店内に上がり込み、誰もいないのに一番隅の2人掛けの席に座る。
もとは縁側だったところには、2人掛けの席が並んでいる。
窓越しに、秋の温かくて、優しい陽の光が差し込む。
店内にはジャズが流れている。不思議と和の空間に馴染む。
ああ、できるなら、この座敷の真ん中で、大の字になって寝ころびたい。
お隣の席は6人掛けの席。
他には4人かけの卓が3つと、2人掛けの卓が5つ。
合計28席。
個人経営の店にしてはやや席が多いか。
この席がすべて埋まったとしたら、1人の料理人で店を回すのは、ちょっと大変だろう。
1人の料理人が捌けるのは、せいぜい12~18席程度。
それが限界だと思う。それを超えると、料理と心使いは行き届かない。
麦家のメニュー
テーブルにはメニューが備え付けられている。
価格は2019年11月のもの。
確かに昼の営業時間は11時30分からとなっている。
後日、google mapの営業時間を修正しようとしたが、できなかった。
もりそば 900円
(大盛り) 1,100円
天ざる 1,500円
けんちん 1,300円
山菜 1,200円
かも南蛮 1,500円
そばがき 800円
天ぷら盛合せ 900円
大盛り +200円
そばぜんざい 700円
だし巻たまご 600円
コーヒー 350円
酒 400円
冷酒 750円
焼酎 450円
ビール(中) 600円
オーダーは、天ざると蕎麦ぜんざい
すぐにお茶が運ばれてきた。
そば茶。
注文してから10分も待たずに、天ざるが届けられた。
意外と早かった。
やや盛りは少なめ。男性には物足りないだろう。
天ぷらは丁寧に揚げてある。
天つゆ。
塩があればよかった。
勘違いされやすいが、秋茄子というのは、ただ単に秋に採れる茄子のことを指す言葉ではない。
秋茄子を作るのには、茄子のピークである夏うちに、葉や茎を剪定して、茄子を休ませる。
この休眠期間の間に、茄子は力を付けて、秋の涼しくなったころに、また実をつけ始める。
そして採れるのが、秋茄子。
レンコンの天ぷら。
レンコンも旬の時期を迎えた。
この穴に、何か詰め物を細工したくなるのが人情ってもの。この天ぷらは、いたってプレーンなレンコン。
だけど、それでいい。
旬の野菜に下手な小細工は不要だ。レンコンのシャクシャクとして、ホクホクとした味わい。
これがいい。
ちなみに茨城県はレンコンの生産量が日本一。
レンコンは茨城県の名産品なれど、名物にはあらず。うーん、ちょっとパンチが弱い。
辛子を詰めたレンコンは、すでに他所の県の名物として有名だ。
その他県の名物よりも、茨城県のレンコンをよりアピールするためには、もっと何か突拍子もないものを詰めなくてはならないだろう。
突拍子の無さで言えば、履き古した靴下なんて詰めたら、なかなかの突拍子の無さだが、どうだろうか?
いや、それでは食べられないし、なにより罰当たり感がハンパない。
これは何の葉だろうか。
かなり細くて繊細な仕上がりの蕎麦だ。
窓から差し込む光に照らされて、蕎麦がツヤツヤと輝いている。
そば汁からは、かつお節の香りが漂ってくる。
一口すすると、歯ごたえも十分。加水の加減もばっちりで、十割蕎麦とは思えないほどにしなやかで、ツルツルとしたのど越しの良い蕎麦だ。
ただ、蕎麦の香りが決定的に乏しい。
もちろん、この蕎麦は不味くはないし、とても良くできている。
しかし、蕎麦の香りはとても弱い。
その見た目と同様に、香りはか細く、弱々しい。
蕎麦は食べる人の好みが大きく出る食べ物だと思う。
誰もが美味いと思うような蕎麦なんて、誰にも作れないのだろう。
だから、これはあくまで私個人の感想だ。
私はもっと「蕎麦臭い」くらいの、野趣あふれる蕎麦が好きなのだ。
率直に言って、この香りが弱めの蕎麦は、私の好みではない。
これはこれで美味いんだけれども。
蕎麦を食べ終えるころ、蕎麦湯が運ばれてきた。
こちらの蕎麦湯はけっこうトロみが強いタイプ。
ばっちり蕎麦の香りがする。香りは湯に溶けてしまったのかもしれない。
そば汁の出汁と酸味がとても良くあう。
文句なく美味しい蕎麦湯。
蕎麦ぜんざい
蕎麦湯が運ばれて来たあと、すぐに運ばれてきた。完璧なタイミングだ。
気が付けば、いつの間にか店内はほぼ満席になっている。
縁側の2人掛けの卓には、若いカップルが2組。
すばらしい庭と、古民家が持つ独特の雰囲気は、意外とデートの食事に向いている。
新蕎麦らしい薄い緑色。
小豆の甘い香り。ふっくらと炊き上げてあって風味もよく美味しい。
蕎麦の団子はやはり香りが弱い。
お口直しの塩昆布。
美味しく頂いた。
会計を済ませて庭に出た。
帰る前にもう一度あらためて庭を回ってみると、やはり素晴らしい。
綺麗な花が咲いている。
麦家の場所はここ
通りからちょっと入ったところ。
駐車場は8台分。
麦家の基本情報
営業時間
11時30分~14時00分
15時30分~20時00分 <要予約>
定 休
毎週月曜日
第三火曜日
電 話
029-353-0505
住 所
〒311-0111 茨城県那珂市後台1229
水郡線の踏切り。