裏磐梯は、会津のシンボル磐梯山のふもとに広がる高原地帯。
その裏磐梯で作られている塩が会津山塩。
え、なんで山の中で塩がとれるの?○
早稲沢屋しお○(しおまる)
しかし世の中には「ヒマラヤの塩」なんてのもあるんだから、磐梯山で塩がとれたってべつに不思議な話じゃない。
「ああ、なるほど岩塩ってやつなのね」なんて思うとそれも違う。
会津山塩は、温泉水を薪窯で煮詰めて作られる。
今回は、そんな山塩を使った会津山塩ラーメンをいただいてきた。
やぁ諸君、ごきげんよう。
ぼっちメシ研究所のジャムだ。
外観
こちらが早稲沢屋しお〇(しおまる)。
なんだか雪山の民宿っぽい印象を受ける。
この外観からは、ここがラーメン屋だとはなかなか気がつかないかもしれない。
店の前を通ると、いつも駐車場は満車だ。
白線がひかれていないためなのか、ソーシャルディスタンス広めにクルマが停められていた。
新型コロナウイルス対策ですね。
マスクをして行きましょう。
暖簾をくぐり、いざ店内へ。
店内
お店のスタッフさんに写真撮影の許可を求めると、「はい、ぜひ! ありがとうございます!」との嬉しいお返事。
店内はかなり広い。
座席の正確な数は分からないが、おそらく30名~40名分ほどの席は充分に確保されているようだ。
それにしても、このテーブルの厚みがものすごい。
1枚の分厚い板でできている。なんて贅沢な作りなんだろう。
ここ、もとは何の店だったんだろ?
ホールは、愛想のいいお兄さんが1人で切り盛りしている。
ハキハキ、テキパキとして気持ちがよい。
元気のカタマリのような好人物。
1人であることを伝えると、カウンター的な席へと案内された。
大きなテーブルに10人分の椅子が向かい合わせに配置されている。
このテーブルもなかなか見事なもので、脚には白樺の木が使われていた。
椅子こそ安物のオフィス・チェアだが、窓のそとには裏磐梯の紅葉が広がっていて、素晴らしいロケーション。
備え付けのグラス。
こちらがメニュー。
塩ラーメンのみで構成されている。
じつにいさぎよい。
気になるのは会津山塩チャーシューメン。
ミニチャーシュー丼のセットがある。
「早稲沢温泉のお湯で作った温泉卵も入っています」の一文に、一発でこころを持っていかれた。
ラーメンをチャーシューメンに変更してもらい、このセットを注文することにした。
「はい! お時間のほうを頂戴させていただきます! 少々おまちください!」
あれ? ひょっとして、時間がかかるメニューを頼んじゃったのかな・・・
会津山塩チャーシューメンとミニチャーシュー丼
しかしすぐに「どうもぉどうもぉ! お待ちどぉーさまでしたぁ!」とラーメンが運ばれてきた。
早っ!
いったい、いつの間にお時間を頂戴されたのか、まったく気がつかなかった。
チャーシュー丼は意外と大きな茶碗で出て来た。
大きいというより、懐が深いというのかな。
手に持ってみるとズッシリとして、その感触だけで頬がゆるむ。
こちらが会津山塩チャーシューメン。
具材はチャーシュー、ネギ、メンマといたってシンプル。
そしてスープは当然のごとく塩ベース。
醤油や味噌のような強い香りはないが、それだけにネギの爽やかな香りが際立つ。
ここ裏磐梯の北塩原村は、喜多方ラーメンでおなじみ喜多方市のお隣に位置する。
そのためなのか、この山塩ラーメンの麺も、喜多方ラーメンのような多加水でぶりぷりとした麺。
縮れは少なく、ほぼストレートだが、それが淡い塩味のスープに良くあっている。
喜多方ラーメンとは少しベクトルが異なるさっぱり系ラーメン。
会津山塩は、世間一般で販売されている塩とどう違うのだろうか?
会津山塩企業組合のサイトには「”山塩とは” 海の塩じゃないから、何かがちがいます」とキッパリと書かれている通り、きっと何かが違う。
普通の塩よりも、カドがなくまろやかで、うまみが濃い。
・・・ような気がする。
しかし、おそらく誰でもこの塩を味わえば「あー、たしかに何かが違う・・・ような気がする」とは思うはずだ。
さて、せっかくなので、もうちょっと具体的な違いを書いておきたい。
塩の主な成分といえば塩化ナトリウム。
一般的な「海水から作る塩」は、塩化ナトリウムが成分の90%を占める。
それに対して、温泉から作られる会津山塩は、塩化ナトリウムの含羞率は77%と少なめ。
その分、海塩よりもミネラル類(カルシウム、マグネシウム、カリウム)を多く含んでいる。
そのへんの違いがはっきりと味の違いに現れている。
・・・ような気がする。
この日は、裏磐梯のキャンプ場に泊まった翌日だった。
11月の裏磐梯の夜はめちゃくちゃ寒く、気温は1桁。というか0度近くにまで下がる。
そんな寒い夜を過ごし、冷え切った体を暖めてくれるなんともウレシイ1杯。
残念だったのが、このチャーシュー。
どう見ても小さい。
そして薄い。
わたしの財布よりも薄いチャーシューがこの世にあるなんて、この時までは思ってもみなかった。
たしかに味はいいのだけれど、さすがにちょっと貧弱すぎる。
750円のノーマルな山塩ラーメンにはチャーシューが3枚。
そして1、050円のチャーシューメンでは、さらに5枚のチャーシューがプラスされる。
その差額は300円。
ということはつまり、この薄くて小さなチャーシューは、5枚で300円もするってことなのか。
やせっぽっちのメンマ。
味は悪くないが、ゴマ油の香りと風味が、繊細な山塩スープの邪魔をしているような気がした。
と、具材については少々不満が残るものの、この会津山塩ラーメン、べらぼうに美味い。
なんなら、具材なんていらない。
会津山塩のもつ旨味だけで十分に勝負できる味だ。
わざわざ裏磐梯まで食べにくる価値が十分にある。
さてさて、お楽しみのチャーシュー丼。
温泉卵を割ると、黄身はやや硬め。
もうちょっとトロ~っとしていた方が好み。
「こちらの山塩をかけてお召し上がりください」とのことで、会津山塩の入った小瓶が添えられている。
この写真は、裏磐梯にただ1つだけ存在するコンビニで売られている会津山塩(ミル付き)。
そのお値段、なんと1,296円。
高い。
この商品は、ミルの値段が上乗せされているから、その分すこし高い値付けになっているが、ミルが付いていない詰め替えの用の「塩だけ」であれば、500円程度になる。
つってもだ。
塩30gが500円ってんだから、こりゃなかなかの高級品。
その高級な会津山塩を振りかけていただくチャーシュー丼。
これがまた美味い。
ご飯の上には刻み海苔が敷かれていて、それがいっそう香りを華やかなものにしている。
それより、なにより、会津山塩が白いメシにとんでもなく合う。
美味すぎて、自制心のネジを軽く吹っ飛ばしてくれる。
成人病予備軍から、このたび晴れて1軍へと昇格した私にとって、このチャーシュー丼はとてつもなく危険な食べ物だ。
ラーメンのスープをすすりながらチャーシュー丼を完食。
それにしても、はぁ、しみわたるわぁ。
水を飲もうと備え付けのコップに手を伸ばしかけたが、やめる。
コップがひどく汚れていることに気付いたからだ。
誰かがラーメンの汁でも飛ばしたのか?
しかし他のコップを探ってみても、そのどれもが似たように汚れていて、結局、水を飲むのはあきらめた。
ちょっと残念だ。
まだ10時を少し過ぎたばかりだというのに、店の入り口には長い列ができていた。
会津山塩ラーメンの人気っぷりが伺える。
厨房では3、4人ほどのスタッフが調理にあたっていて、客の注文をさばいているから、回転は速そうだ。
おっと、山塩ダブルシャーシューメン(チャーシュープラス5枚)なんてあったのか。
山塩おむすび、1つ100円ってのも気になるところ。次回は試してみよう。
会計をして食事のお礼を伝えると「ありがとうございましたー!」と気持ちのよい応えが返って来た。
裏磐梯は標高800メートル。
標高が100メートル増すごとに、気温は0.6度下がるそうなので、私が住んでいる茨城県の平野部にくらべると、裏磐梯の気温は4度から5度ほど低いことになる。
晩秋というよりも、すでに冬が始まりつつある裏磐梯。
番外編 会津山塩
コンビニで購入した会津山塩の味見。
塩はサラサラしていて、べつにミルなんて必要ないんじゃないかって思った。
見やすいように、黒い紙の上に一振り。
塩粒はサラサラ。
こうして見ると、なんだか持っていたら捕まるヤバイ粉のようにも見える。
試しに、ダイソーで買った赤いストローを横に添えてみる。
はわっ!?
はわわわわわっ!?
これはアレだ! イケナイやつだ!
はわわ・・・
さらに、ストローから輪ゴムで丸めた千円札に替えてみる。
すると雰囲気がより「らしく」なった。
このルックス、こりゃ完全にダメなやつだ。
それはさておき、テイスティング。
ふむ。
なるほど、こりゃ塩だ。
しかし、明らかに海塩とは別格の旨味を感じる。
・・・ような気がする。
早稲澤屋しお〇(しおまる)の基本情報
早稲澤屋しお〇(しおまる)の場所はこちら
駐車場は8~10台ほど。
10時の開店直後からお客さんがどんどんやって来る。
早稲澤屋しお〇(しおまる)の基本データ
住 所
〒966-0501 福島県耶麻郡北塩原村檜原
電 話
0241-34-2100
営業時間
10時00分~15時00分
★ スープが無くなり次第終了
定 休 日
水曜日
早稲澤屋しお〇(しおまる)のメニュー
※ 価格は2020年のもの。
税込み価格です。
ラーメン
会津山塩ラーメン
750円
会津山塩チャーシューメン
1、050円
会津山塩とうみぎラーメン
900円
会津山塩ネギラーメン
900円
会津山塩つけ麺
700円
会津山塩ラーメン+ミニチャーシュー丼
1、050円
山塩ダブルシャーシューメン
1、350円
山塩おむすび
100円
ラーメン大盛り
+150円
トッピング
からし
100円