【元祖煮込みソースカツ丼の店 なかじま】唯一無二のカツ丼はこの店でしか食べられない! 絶品の豚肉と酸味の効いたソースの組み合わせは中毒性が高すぎる@福島県会津若松市

会津地方では、カツ丼といえば「ソースカツ丼」のことを指す。

白飯の上にキャベツを敷いて、その上に甘辛いソースで味付けした豚カツをのせる。卵とじにはしない。

いっぽうで、一般的な和風出汁と卵でとじたカツ丼のほうは「煮込みカツ丼」と呼ばれている。

元祖煮込みソースカツ丼の店なかじま

ソースカツ丼」と「煮込みカツ丼」。

会津地方にはタイプの異なる2つのカツ丼があるわけなのだが、実はもう1つ、第3のカツ丼が存在する。

それが、カツ丼をソースで煮込んで卵でとじた「煮込みソースカツ丼」。

言ってみれば、煮込みカツ丼と、ソースカツ丼のイイとこ取り。

そんなハイブリッドなカツ丼をいただけるのが、今回ご紹介する元祖煮込みソースカツ丼の店 なかじま

 

やぁ諸君、ごきげんよう。

ぼっちメシ研究所のジャムだ。

外観

煮込みソースカツ丼 なかじま 外観

民間駐車場にクルマを停め、そこから自転車でなかじまを目指す。

会津の土地勘がないので、店の場所がいまいち分からず、あちらこちらを無駄に走り回る。

そのため、お店の前に到着したのは、開店時刻の午前11時を少し過ぎたころだった。

煮込みソースカツ丼 なかじま メニュー

店の前にはメニューが掲示されている。

煮込みソースカツ丼と、キャベツソースカツ丼の2つがベースで、そのバリエーションが展開されている。

煮込みソースカツ丼 なかじま 暖簾

藍色の暖簾をくぐり、店内へ。

店内

煮込みソースカツ丼 なかじま カウンター

店に入ると「いらっしゃいませーッ!」と威勢よく出迎えられる。

平日のお昼前の時間だったためか、先客は3名ほど。

私を含め、すべての客が1人客ばかりで、皆がカウンターに座っていた。

新型コロナウイルス対策のためか、座席の間隔が広くとられている。

女性スタッフさんに勧められるまま、カウンターの端っこに座らせてもらう。

ふと見ると、カウンターの椅子にはそれぞれ番号が振ってあり、私が座った端の席は8番。

となりの椅子には7番と書かれている。ということは、カウンター席は全部で8席ってことか。

煮込みソースカツ丼 なかじま 座敷

蛍光灯が古いのか、やや暗く感じた店内。

座敷は2卓で、こちらも間隔が広くとられている。

店内のスピーカーからは、地元放送局のラジオ・ニュースが流れていた。

煮込みソースカツ丼 なかじま メニュー

さっそくメニューを拝見する。

元祖煮込みソースカツ丼は、1,100円から。

さらにヒレ肉を使った1,450円の上煮込みソースカツ丼、そしてロース200gを使った1,750円の特上煮込みソースカツ丼がラインナップ。

すべての丼ものには、もれなく味噌汁と漬物が付いてくるようだ。

さてさて、何を注文しようかとしばし考える。

せっかくの会津での食事だし、それに、なんつっても豚肉は脂身が美味い。

といわけで、ロース200gを使った特上煮込みソースカツ丼を注文することにした。

煮込みソースカツ丼 なかじま メニュー

注文を終えてからしばらくして、メニューの裏に隠れていた「カツ丼屋さんのとん汁」の存在に気が付く。

丼のセットなら、プラス350円のエクストラで味噌汁をとん汁にグレードアップできる。

なんだか「寒い時期限定」「カツ丼屋さんの」ってただし書きが、妙に好奇心と食欲を掻き立てる。

「せっかく会津名物の煮込みソースカツ丼を食べるのだから、そのカツ丼の横にはコイツにいて欲しい」

つい、そんなふうに思ってしまうのは、きっとこの思いが全人類の普遍的な感情だからに違いない。

さっそくスタッフさんに豚汁への変更をお願いすると、快く快諾してくれて、すぐにオーダーの変更を厨房のいる大将へと伝えてくれた。

すると「ありがとうございまーっす!」という大将の声。

煮込みソースカツ丼 なかじま

なかじまの創業は1948年。

先代の2代目が、煮込みソースカツ丼を考案されたとのこと。

煮込みソースカツ丼 なかじま カウンター

ありがとうございましたーーーッ!!

大将の声が、店内に響きわたる。

まわりを見てみると、カウンターのお客さんたちが食事を終えて店を出て行くところだった。

奇跡的にカウンターに誰もいなくなったので写真を撮る。

 

いらっしゃいませーーーッ!!

カウンターの客たちと入れ違いに、2組のグループが入ってきて、座敷へと案内される。

それにしても、ここの大将はなんともイイ声をしている。

それは声優のようなイケメン★ボイスってタイプの声ではなく、なんというか、例えるなら落語の噺家のように、凛としてすっきりと響く、清々しい声。

じつにいい喉をお持ちだ。

元祖煮込みソースカツ丼の特上ロース200g

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

10分ほど待つと「元祖煮込みソースカツ丼」が、フタ付きのどんぶりでやって来た。

これが会津若松中にその名を轟かす煮込みソースカツ丼か。

見た目は、この地方でいうところの「煮込みカツ丼」つまり、一般的なカツ丼とさしたる違いはないように見える。

しかし、普通のカツ丼とは全く違うのが香り。

煮込みソースカツ丼は、まったく異なる香りを放つ。

普通のカツ丼であれば和風出汁の香りがするところだが、この煮込みソースカツ丼が放つ香りは、どちらかというと洋食っぽい。

甘酸っぱくて、スパイシーでなんだか刺激的。

見慣れたいつも姿形をしているのに、何かがいつもと違っている。

目から入ってくる情報と、鼻から入ってくる情報が矛盾して、小さな脳みそが混乱する。

きっと、寄生獣に乗っ取られた母親を見たときのシンイチの気持ちって、こんなんだったんだろう。

それにしてもこの香り、芳醇としか言いようがない。

たまらなく美味そうだ。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

200gのロースは丼の上に並べ切らないご様子。

一切れだけが丼の端っこに寄せられていた。

この部分、脂が多くて好きなんだな。

煮込みソースカツ丼 なかじま 豚汁

こちらがカツ丼屋さんの豚汁

その汁の表面には豚肉の脂が浮きあがり、テラテラと光を反射して美しく光る。

ひと口すすると、白味噌の風味に豚肉のコク、とろけそうなほど美味い。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

カツ丼の上にはグリーンピースがあしらわれている。

グリーンピースといえば、昔っからシュウマイのてっぺんがその指定席だったのだが、最近はスーパーで売られているシュウマイにはグリーンピースがのっていない。

なんせグリーンピースは、意外と苦手な人も多い食材だ。

どうもその食感が嫌われる原因らしい。

私は嫌いじゃないから「最近、アイツのこと見ないよなぁ・・・」なんて、少し寂しく思っていた。

だからこの思わぬ再会を心からうれしく思う。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

さっそく丼から豚カツを1つつまみ上げ、口に頬張る。

あれ、これ、めちゃくちゃ美味いな!

この煮込みソースカツ丼、ぱっと見た感じでは、濃い色合いから塩気が強そうな印象を受ける。

しかし実際は、その印象とはまるで真逆。

ウスター系のサッパリとした酸味の効いたソースが、豚の脂と旨さをより引き立てる。

塩気よりも、風味や香りで食べさせるタイプの料理に仕上がっている。

さて、気になるのは、煮込みカツ丼と、ソースカツ丼という2つカツ丼の橋渡し役となるのが溶き卵の存在だ。

その溶き卵、使わている卵の量はやや控えめで、たぶん卵1つ分くらいの分量かも?

だから、あまり卵の存在感は感じられない。

しかし卵は、この丼のなかで繰り広がる物語において、しょせんは脇役にすぎないのだから、主張しすぎないほうがかえっていい。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

細かく包丁が入るタマネギ。

タマネギの甘さ、ソースの酸味、豚肉の旨味、それに組み合わされるスパイスの香りが、悪魔的なまでの吸引力を発揮する。

なんせ、ひと口食べると、さらに次のひと口を呼びこんじゃうから、なんとも困る。

食欲に引っ張られ、本能の赴くままに箸が動き、豚カツをガツガツと口の中に放り込んでしまう。

本能が「食べろ」「食べろ」とせっついてくるんだからしょうがない。

どうにも抗えない豚肉とソースの魔力。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

豚肉って、たいていはドコでナニを喰っても美味いもんだ。

けれど、この煮込みソースカツ丼に使われている豚肉は、別格に美味い。

肉汁が溢れ出てきて・・・なんて、そんなレベルは、当然のごとくサクっとクリアしている。

そんな当たり前なことよりも、なにしろ驚かされるのがその肉質。

肉は文句なしに柔らかく、それでいて身が締まっているから、なんとも心地よい噛み応えがある。

ぎゅむ・・・ぎゅむ・・・と厚切りの豚肉を噛むたびに、旨味といっしょに肉を食べる喜びが溢れ出てくる。

こりゃいい肉だ。

いい肉を使ってやがるぜ。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

クールダウンのため、いったんご飯をかっ込む。

するとこのご飯も美味い。

使われているのは、会津産のコシヒカリだそうで。

新米が出回る時期だったのもラッキー。

丼において、メシの美味さってのは特に大事だなぁ、としみじみ思わされる。

煮込みソースカツ丼 なかじま 豚汁

豚汁の具材はダイコン、ニンジン、ゴボウとコンニャク。

コンニャクは丁寧に手でちぎってある。

肉は厚めのバラ肉が使われていて、これまたトロリとして美味い。

もっと肉はないかと、椀の中をあさる。

しかし、いくら椀の中を捜索してもても、ほかに豚肉を見つけることができない・・・

あれ?

この豚汁って、豚肉はたった1切れしか入ってないのか・・・

これが既定の分量なのか、はたまた、この時がたまたま1切れだったのかは分からない。

ただ、ちょっとばかし「え?」ってなった。

煮込みソースカツ丼 なかじま 煮込みソースカツ丼

カウンター席の隣で待機しているスタッフさんに、使っている豚肉について訊いてみた。

この店で使用している豚肉は、健育美味豚(けんいくびみとん)という福島県のブランド豚とのこと。

茨城県では売っているのを見たことがない品種。

まぁ、茨城県にはローズポークをはじめとして様々なブランド豚があるから、だからよそ様のブランド豚が入り込む隙が無いのかもしれない。

でもこの健育美味豚、ローズポークよりも美味いんじゃないかと思う・・・あくまで個人的に。

それはさておき、健育美味豚、その名をしっかりと脳みそに刻み込ませてもらった。

ついでにIMEの漢字辞書にも登録した。

煮込みソースカツ丼 なかじま お漬物

お漬物はあまり好みでは無かった。

できれば、天日で干したタクワンの3切れ、とかだったらよかった。

どうも私は人工甘味料の甘さが苦手なようだ。

けれども、毒々しいほどに真っ赤な紅ショウガは大好きだ。

煮込みソースカツ丼 なかじま 店内

夢中になって「元祖煮込みソースカツ丼」食べ終えて、丼に伏せていた顔をあげる。

ふと見渡せば、店内はすでに満席になっていて、入り口には順番待ちの客たちが大勢並んでいた。

おっと、こりゃさっさと席を空けなければ、だ。

店を出る前に、この素晴らしい煮込みソースカツ丼のお礼を直で大将に伝えたいと思った。

大将は、次々と入てくる注文をさばくのに、とても忙しそうだ。

その手が空くのをしばし待ち、タイミングをみて「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」と伝える。

すると大将はニッコリと優しい笑顔で「ありがとうございます!」と応えてくれた。

その口元は、透明なマウスシールドで覆われている。

 

会計を済ませて、店を出ようとすると「あーりがとうございましたーーーッ!!」と、ひときわ大きな送り出しの声を背中に頂戴した。

煮込みソースカツ丼 なかじま 暖簾

ここなかじまでしか味わえない唯一無二の煮込みソースカツ丼は、めちゃくちゃ美味かった。

この店を選んでホントによかったと思う。

しかし、1つだけ困ったことがある。

それは、煮込みソースカツ丼は、とてつもなく中毒性が高いってことだ。

この日の夜、地元の茨城県に帰って来てから、またすぐに食べたくなった。

できることなら茨城県でも「煮込みソースカツ丼」が食べたい。

どこぞの誰かがなかじまの味をパクってインスパイアして、あの味を再現してくれないものか?

ああ、それにしたって、また食べたい。

会津若松の人々は、何時でも煮込みソースカツ丼を食べることができるなんて、じつに羨ましい。

煮込みソースカツ丼 なかじま

さて、カツ丼がもっとも似合うシチュエーションといえば、なんと言っても警察署の取調室だろう。

部屋には高い位置に小さな窓があるだけで、その窓にはもちろん鉄格子。

電気スタンドに照らされながら、事務机の上で食べるカツ丼。

ああ、そのカツ丼が刑事さんの奢りだったりしたら、こりゃもう最高だ。

このシチュエーションがもっともカツ丼に似合うということに、異論をはさむ者などいないはず。

しかしあいにく、私ときたら絵に描いたような善良な市民で、これ以上に無いってほどにまっとうな人間。

だから、おそらくそんなシチュエーションでカツ丼を食べる日なんて、永遠にやっては来ないだろう。

たぶん来ないと思う。

来ないんじゃないかな。

 

ま、ちょっとは覚悟しておけ。

煮込みソースカツ丼 なかじま 外観

20数年ほど前、ソースカツ丼を初めて食べた。

場所は群馬県の桐生市。

 

旅行ガイドブックを頼りに入った定食屋だった。

そこで初めて目にしたソースカツ丼は、普通のトンカツをただ丼ぶりメシの上に乗せ、中濃ソースをぶっかけただけ・・・ってなシロモノだった。

トンカツを丼にのせることで洗い物の数を減らす。そのためだけに作られたような悲しい料理。

その味はといえば、やっぱり見たまんま。トンカツがのった白飯以外のなにものでもない。

初めて食べたソースカツ丼は、とても丼ものなんて呼べるようなものではなかった。

その味に、ひどく落胆した。

それからというもの、ソースカツ丼というものに対して強く警戒心を抱くようになって、食事の選択肢からは完全に外れた。

 

しかし数年前、ここ会津地方で本物のソースカツ丼を食べて、その美味さに驚いた。

それ以来、甘辛いソースをたっぷりと絡ませた会津のソースカツ丼が大好きになった。

今では会津地方に来るときの、大きな楽しみの1つになっている。

会津若松 民間駐車場

お店には駐車場が完備されているが、なにせ人気店。

駐車場にクルマを停められないことがあるかもしれない。

というわけで、会津若松市内の民間駐車場の相場はこの写真の通り。

鶴ヶ城南口観光駐車場

クルマを停めたのは「鶴ヶ城南口 観光駐車場」。

駐車場に戻る途中で雨が降って来た。

この後は、鶴ヶ城を見学してから茨城県へと帰った。

元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまの基本情報

元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまの場所はこちら

駐車場はお店のすぐ隣。たぶん8台くらい?

JR只見線の七日町駅からは1.7km、徒歩20分。

元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまの基本データ

 元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまの基本データ 

 住  所 

 〒965-0034 福島県会津若松市上町2−39

 電 話 

 0242-24-5151

 営業時間 

 11時00分~15時00分
 17時30分~20時00分

 定 休 日 

元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまのメニュー

※ 価格は2020年のもの。

税込み価格です。

 元祖煮込みソースカツ丼の店なかじまのメニュー 

 お食事 

 元祖煮込みソースカツ丼
   1,100円
 上煮込みソースカツ丼(ヒレ)
   1,450円
 特上煮込みソースカツ丼(ロース)
   1,750円
 煮込み海老フライ丼
   1,450円
 キャベツソースカツ丼
   1,450円
 上キャベツソースカツ丼(ヒレ)
   1,750円
 特上キャベツソースカツ丼(ロース)
   1,750円
 キャベツ海老フライ丼
   1,450円

 ご飯無し
   各メニュー200円引き
 ライス
   250円
 大盛り
   100円
 お持ち帰り用折代
   各メニュー50円増し

 飲み物 

 瓶ビール
   750円
 生ビール
   650円
 ノンアルコールビール
   500円
 ウーロン茶
   300円
 コーラ
   300円
 オレンジ
   300円
 ジンジャーエール
   300円
 アイスコーヒー
   500円

煮込みソースカツ丼 なかじま メニュー