今回ご紹介する La Table de Izumi(ラ・ターブル・ドゥ・イズミ)は、美味しいスコーンを食べさせてくれることで有名なお店だ。
あらゆる年齢層の女性たちから熱烈な支持を集めている。
やぁ諸君、ごきげんよう。
ぼっちメシ研究所のジャムだ。
La Table de Izumi(ラ・ターブル・ドゥ・イズミ)
ラ・ターブル・ドゥ・イズミ。
とてもじゃないが、一度聞いただけではお店の名前を憶えられない。
なんだかもう、すでに店名からしてコジャレた感じがあふれ出ちゃっていて、加齢臭が漂う脂ギッシュな中年男などはとても近寄ることなどできやしない。
ましてやぼっちの四十男となれば、なおさらだ。
お店の外観
2021年の年明け。
幸運なことに、平日にお休みが取れたので、こんな日なら人気のお店も空いているだろうとイズミへと向かった。
あいにく天気が悪い。
ラ・ターブル・ドゥ・イズミは、国道245号線沿いに店を構える。
道沿いに掲げられている看板は、黒と白を基調にしたシンプルでシックで、なんだかロードサイドの飲食店のものとは思えないようなステキ仕様。
さらにステキなのは、看板の下に書かれた「スコーンをお好きなだけ召し上がれ」の文字。
そう、このお店ってば、なんとスコーン食べ放題&紅茶飲み放題なのだ。
お店に着いたのは、開店時刻の午前10時ちょうど。
駐車場は10台以上は余裕で停められる広さ。その片隅にクルマを停め、お店の入り口へと向う。
入口の前に立つと、内側からドアがゆっくりと開き、中からご年配のご婦人が顔をのぞかせた。
おしゃれな黒縁の眼鏡をかけていて、とても知的な印象。
一瞬だけ、少し驚いたような表情を浮かべた後「あら、いらっしゃいませ、お寒いでしょう? どうぞ中へ」と、優しい笑顔で店の中に入るように促した。
てっきり、その流れで店内に案内されるのかと思っていたら、ご婦人は出迎えの挨拶だけ済ませると、私を放置しててくてくと店の外へと出て行ってしまった。
え・・・あれ?
出迎えのために店の外まで出てきてくれたのかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。
ただ単に「用事があって店の外に出てみたら、ボーとつっ立っているぼっちと鉢合わせになった」って感じのようだ。
ああ、なんてこった。新年早々にメガネっ娘から放置プレイを喰らうとは・・・こりゃ春から縁起がいいや。
店内の様子
しばし放置プレイを堪能したのち、カランコロンと店の中へ。
案の定というか、なんともカワイイ小物であふれる店内。
白を基調にした内装は、ふんわりと優しい雰囲気が漂い、どこか南仏あたりのレストランを思わせる。
外から見た印象よりも店内はずいぶんと広く、いくつか並んだテーブルは間隔がゆったりと取られている。
店の中央に設置された大型のテーブルの上には、この店ご自慢のスコーンが並べられていて、店内を甘い香りで満たしている。
このスコーンがお替り自由ってんだから、まったく恐れ入る。
紅茶の給湯用に、電気ポットが置かれている。
このポットだけが、他のしゃれた小物たちとはだいぶ雰囲気が異なり、なんとなく存在が浮いている。
電気ポットのちょっと場違いな感じが自分自身と重なって、白い電気ポットに対して妙な親近感を覚える。
店の奥から、ふんわりとした雰囲気の若い女性スタッフさんがやってきて「いらっしゃいませ」と出迎えられる。
一人であることを伝えると、窓際に並ぶ5つの2人掛けテーブルの真ん中のテーブルへと案内された。
「当店は初めてのご利用でしょうか?」と尋ねられ、「はい」と応えると、お店のシステムについてひとしきりご説明をいただいた。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の取り組みについて。
- トングはテーブルの皆様でお使い下さい。
- テーブルを離れる際には、マスクと手袋の着用をお願い致します。
- おしゃべりタイムは、マスクと手袋の着用をお願い致します。
- 2時間以内のご利用のご協力をお願い致します。
こちらがトング。
このトングと木製のお皿を持ち、店内中央のテーブルからスコーンを取ってくるシステム。
お皿は各テーブルに人数分が用意されている。
ビニール手袋。
略してビニ手。
こちらも人数分が準備されている。
さて、まずはメニューを拝見しよう。
スタッフさんにおススメを尋ねると、蕎麦粉を使ったガレットがイチオシなんだとか。
お、いいね。蕎麦は大好物。ガレットに決まりだ。
ということで菜の花とエビのガレットプレート(2,060円)を注文。
なお、すべてのランチメニューには、スコーンと紅茶の食べ放題が含まれている。
逆に食事だけってメニューは無いっぽい。
ランチメニューにはガレット以外にも、ロールキャベツ、若鶏のソテー、パスタなどが用意されている。
ランチメニューの他にスコーンと紅茶セット(1,390円)があり、こちらは食事なしのスコーンと紅茶の食べ放題。
ただし、ランチの時間帯(11:00~13:00)は注文できないのでご注意を。
料理ができるまでの間に、紅茶を準備することに。
店内中央のテーブルには、様々なフレバリーティーの茶葉が詰められた瓶が大量に並べられている。
いったい、何種類あるのだろう?
その答えは、とにかくたくさんだ。
紅茶の瓶より1段高くなったところにはガラス製のポットが置かれていて、このポットに茶葉を入れて給湯すれば温かい紅茶が頂ける。
もし、冷たい紅茶をご所望であれば、スタッフさんが氷を準備してくれるそうだ。
なんとなくライチフレーバーを選択。
なぜかカップはティーカップではなく、民芸調の湯吞み。
できれば紅茶は白いカップで飲みたい。紅茶の色を目でも楽しみたいから。
たとえば、醤油ラーメンを食べるのなら、やっぱり透明なスープがよく映える真っ白なドンブリで食べたいって思うじゃない?
それと同じ理屈よね。
あれ? ヘンかな?
ヘンじゃないよな。
各テーブルには砂時計が用意されていて、それを使って抽出時間を正確に計ることができる。
時計の砂がすべて落ちたら抽出完了ってわけだ。
できたての紅茶は、清々しく立ち上る紅茶の香りに混じって、ライチのフルーティーで甘酸っぱいフレーバーが軽やかにはずむ。
ちなみに、紅茶を注いだポットは、テーブル備え付けのコースターの上に置くように、とのこと。
お湯を注いで高温になったポットを直接テーブルに置くと、テーブルに敷いているビニールが溶けてしまうらしい。
紅茶を飲みながら、あらためて店内を観察すると、これがまた乙女心にグサグサっと刺さりまくるカワイイ三昧。
菜の花とエビのガレットプレートとスコーンと紅茶
「さて、次はスコーンを取りに行こうかな」と思っているところに「お待たせしました」と、ガレットが運ばれてきた。
思っていたよりもだいぶ早いご到着。
テーブルに置かれたそば粉のガレットは、なんちゅーか、とっても華やか。
付け合わせが書かれてたカードが添えられている。
食べなれないタイプの食事なので、料理に対するこんな説明があると非常に助かる。
この細やかな気遣いが、とてもうれしい。
色鮮やかな野菜がたっぷり。
どれもこれもがピンと張りがあり、とても瑞々しく輝いている。
左から、リンゴとクリームチーズのマリネ、オニオンのサイコロオムレツ、ニンジンのポタージュ。
ガレットのてっぺんには、レモンと菜の花が添えられている。
菜の花ってのが、これまた春っぽい。
ガレットは、よくそば粉のクレープなんて表現される。
蕎麦と言えばこっちのもの。
ものが蕎麦というのなら、俄然こちらのフィールドだ。
店内のお洒落でカワイイ雰囲気に飲まれて、今までは小さく縮こまっていたけれど、いよいよ「俺のターン!」ってわけだ。
ガレットは、どちらかと言えば蕎麦の香りよりも、圧倒的にチーズの風味が勝っている仕上がり。
蕎麦らしい風味はあまり感じられないが、これはこれで美味い。
総菜系クレープって感じ。
ま、きっとガレットって、蕎麦の風味を楽しむ料理ではないんだな、たぶん。
もし、ある時ふいに「蕎麦が食べたい!」なんて思ったとしても「それじゃ、ガレットを食べに行こうか!」とはならないもんな。
それにしてもこのガレット、ほんとにクレープみたいにテロテロな柔さなので、ナイフとフォークで食べるのが少々まどろっこしい。
まだ他の客もいないことだし、と、手づかみでワシワシと食べることにした。
サツマイモの香草グリル、タマネギのグリル。
そのままパクパクと食べてしまったのだけれど、後日知ったところによると、これらの付け合わせはガレットに包んで食べるのが正解だったようだ。
タマネギは外皮ごとグリルされているので、丸ごとイケるのかと思ったが、外皮はまるで噛み切ることができない。
よって外皮は剥いてから食べるべし。
さて、食事が終わり、いよいよスコーンの出番だ。
イズミでは40種類のスコーンがあり、そのうちのプレーン+3種類が日替わりで提供される。
なにが出るかは、当日のお楽しみ。
個人的には、そば粉、アールグレイ、クルミ、シナモンあたりが気になる。
とくにシナモンのスコーンには、リンゴのジャムをたっぷりとのせて食べてみたい。
アップル&シナモンは鉄板の組み合わせだもんな。
この日のラインナップは、プレーン、カボチャ、黒糖ショウガ、パイナップル。
「スコーンのお残しはお買い上げ頂いております」との注意書きがある。
ようするに、お残しはペナルティ。
あまり一度に欲張らないほうがイイ。
スコーンに付けるのジャムとして、イチゴ、あんず、マーマレード、ラズベリーが用意されていた。
「こちらはコンフィチュールではございません」とのこと。
このジャムは、お店で作ったものではなく、市販品とのことだ。
とはいえ、果物の果肉がゴロゴロとしていて、けっこうお高そうなジャムって感じ。
できることなら、4枚切りの分厚いパンを熱々にトーストして、このジャムをたっぷりとのせて食べてみたい。
4種類のスコーンそれぞれをピックアップ。
小さめに作っているというスコーンは、タマゴのMサイズくらいの大きさ。
ジャムはマーマレードをチョイスした。
マーマレードって、ただ甘い甘いの一辺倒じゃなくて、苦味があるのがいいんだよな。
あらかじめ、自家製コンフィチュールとクロテッドクリームが届けられる。
こちらはお替り不可で、もし追加が欲しければ別料金となる。
添えられたプレートには『焼き立てスコーン+自家製コンフィチュール+クロテッドクリーム=黄金の法則』の文字。
ほう。
なるほど、黄金の法則か。
たぶん『握力×体重×スピード=破壊力』みたいなものなのだろう。
こちらが自家製コンフィチュール。
これって、ジャムとは違うらしいが、どう違うかは分からない。
この日のコンフィチュールは、ブルーベリーバナナ田舎風というもの。
田舎風があるなら、都会風ってのもあるのだろうか?
それはさておき、小さなレンゲのような器がカワイイ。
こちらがクロテッドクリーム。
ようするにバターなのかな? そんな感じの風味。
クロテッドクリームなる物の良し悪しは分からないけれど、少なくともこの器のヘリにこすり付けたような盛り付け方はちょっと美しくない。
せっかくなので、紅茶のお替りも用意しよう。
端っこで見切れちゃっているけれど「いばらき」という紅茶が気になる。
茨城といえば、もちろん納豆。
もしくはサツマイモとかレンコン。
どの食材にしても、紅茶にするにはちょいとクセが強そうだ。
しかし、きっとそんな茨城らしさ満点の紅茶であることを期待して、いばらきをチョイス。
いばらきをポットに入れて、砂時計をひっくり返し、しばし待つ。
できあがった紅茶を口に含むと、とても独特で濃厚な味と香りが広がる。
ああ、これってたぶん、さしま茶だ。
なるほど、いばらきって紅茶は、さしま茶のこと・・・なのか?
スコーンは、固めに焼き上げた生地がざっくりとしていて、中はややしっとり。
ほんのりとバターっぽい風味と優しい甘さ。
水分は少な目で、ちょっとばかりポロポロとするが、どこか懐かしいような素朴さを感じさせる味わい。
これ、焼きたてを食べられたら、きっと最高だろうな。
それはそうと、このスコーンってやつは、口の中の水分を根こそぎ持っていく。
だからこそ、紅茶のお替り自由ってのがホントにありがたい。
ちなみに、紅茶をお替りする際は、使い終わったポットは返却し、別の新しいポットを使って茶を淹れる。
初めてスコーンの存在を知ったのは『ワーズワースの庭で』というテレビ番組だった。
その番組は「大人の趣味・道楽」をメインテーマとして掲げていた。
放送開始が1993年ってんだから、もう30年近くも前のことなのか。
その放送第一回目に取り上げられたのが「イギリスの紅茶文化」だった。
いわゆるアフターヌーンティー、午後の紅茶ってやつだ。
その番組内では、英国人のアフターヌーンティーに対する強いコダワリのあれこれを紹介していた。
そのアフターヌーンティーにおいて、必要不可欠なものとして紹介されたのがスコーンだった。
いや、そりゃもう猛烈に食べてみたいと思った。
だけれども、当時はスコーンを提供している店なんて、茨城の田舎にはどこにも無く、したがって諦めるしかなかった。
ああ、あの当時、このイズミがあれば良かったのにな。
スコーンはどれも美味しいが、特に黒糖ショウガのスコーンがめちゃくちゃ美味かった。
黒糖はともかくとして、よくスコーンにショウガを入れようなんて思ったものだ。
素晴らしいセンス。
スコーンのお替りを取りに行く。
恥ずかしながら、これまでスコーンとはてんで縁がない食生活を送ってきた。
なので、まずはプレーンなスコーンをしっかり味わって、自分の中にスコーン基準となる味を確立することにした。
ということでプレーンだけを4つ持ってきた。ジャムはイチゴ。
黒糖ショウガのスコーンに、後ろ髪をグイグイと引っ張られる。
やっぱり一番ベーシックなプレーンって美味しい。
なんて思いながらモソモソとスコーンを食べていると突然、背後から声をかけられた。
しかも驚いたことに、声をかけてきたのは女性だった。
その声の主は、この店の入口で最初に出迎えてくれたステキ眼鏡のご婦人。
新年早々に放置プレイを仕掛けてきた、あのメガネっ娘だった。
「本日は早くにお越しいただき、ありがとうございます」
とても柔らかな物腰。
「どうぞ、スコーンをたくさんお召し上がりください」
その言葉使いにもにも、えらく気品がある。
たぶんこの女性が、この店のオーナーなのかな。
ひょっとして、このかたがイズミさんなのか?
いばらきという紅茶の正体が気になって、さしま茶なのかと尋ねてみると、やったぜビンゴ。
美味しい紅茶ですね、と伝えると「ずいぶんと長くお付き合いさせてもらっているお茶屋さんから仕入れさせて頂いています」と、とても嬉しそうに答える。
「柚子茶などもさしま茶をベースに作っていますので、ぜひ他のお紅茶もお試しください」
イキイキと話すその様子から、この人、ほんとに紅茶が好きなんだなぁってコトが、ひしひしと伝わってきた。
ひょっとして、この店の主役はスコーンじゃなくて、紅茶なのかも。
「では、ごゆっくりどうぞ」と言い残して、紅茶好きなメガネっ娘は、店の奥へと消えていった。
ありがたいお言葉だが、あいにくとぼっちは食事を終えてしまえば他にやることがない。なんせお喋りをする相手なんていないから。
お言葉に甘えてゆっくりしたい気持ちも有るが、このオシャレ系カワイイ派のオーラがあふれ出るこの空間は、何と言えばいいのか、私とは棲んでいる水域があまりにも違いすぎる。
いつまでもグズグズしていると、きっとナマコのように内臓が四方八方に飛び出して死んでしまうかもしれない。
それに、ビニール手袋は脱着を繰り返すうちにすっかりクチャクチャになって、もはや原型をとどめていない。
これ以上、このビニ手を酷使するのも気が引ける。
ああ、ビニ手よ、安らかに眠れ。
R.I.P
とうことで、そろそろ撤収だ。
やがて3組のお客さんが来店。
2組はどちらも女性2人連れ。もう1組は若いご夫婦。
やはり女子率が高い。
お店のスタッフさんは、女性のお客さんに対して、防寒用のひざ掛けをすすめていた。
お持ち帰り用のスコーンも販売されていた。
6個入り600円。
12個入り1,200円。
いばらきの茶葉が売っていたのだがスルーしてしまった。
今になって、買っておけばよかったかと、激しく後悔中。
まぁいい。また近いうちに食べに行こう。
ラ・ターブル・ドゥ・イズミの基本情報
ラ・ターブル・ドゥ・イズミの場所はこちら
店の前の駐車場は十数台分。
すぐ近くに第二駐車場があります。
ラ・ターブル・ドゥ・イズミの基本データ
住 所
〒312-0012 茨城県ひたちなか市馬渡907−1
電 話
029-274-5331
営業時間
10時00分~17時30分
定 休 日
ラ・ターブル・ドゥ・イズミのメニュー
※ 価格は2021年のもの。
税抜き価格です。
メニュー
ガレット 菜の花とエビ
2,060円
ガレット ベーコンとほうれん草
2,060円
ガレット シーフード
2,060円
ガレット ラタトゥイユ
2,060円
パスタプレート 菜の花とベーコンのペペロンチーノ
2,060円
自家製ロールキャベツ
2,060円
若鶏のソテー
2,130円
たっぷり野菜のトマトパスタ
1,980円
海の幸のトマトパスタ
1,980円
サラダ(小さなスープ付き)
1,840円
スコーンと紅茶のセット
1,390円
KID’S パスタ&スコーンSET
790円
KID’S スコーンSET
560円
BABY’S スコーンSET
400円