【鳥半】50年間磨き続けた職人技が光りまくっている絶品の親子丼@茨城県水戸市

Google mapを使いながら、どこか美味しそうなお店が無いものかと探していると、ときたま口コミの中に、もんの凄ごーーーく熱がこもったレビューを見かけることがある。

熱狂的なファン。いわゆる常連さんによる投稿だろう。

そんな口コミを見るとつい、グッと心が引き寄せられてしまい、どうしてもそのお店に食べに行ってみたくなってしまう。

 

なっちゃうよね?

 

水戸市本町にある『鳥半』も、そんな感じで興味を引かれたお店だった。

鳥半

やぁ諸君、ごきげんよう。

ぼっちメシ研究所のジャムだ。

 

初めて鳥半にお伺いしたのは2019年の年末。

自転車にのって鳥半へと向かう。お店に到着したのは開店時間の少し前。

店先では、ご主人らしきご年配の男性が、店内の椅子やテーブルを店の外にならべ、ホースで水を掛けながらジャブジャブと洗っていた。

一目見てわかった、こりゃ「年末の大掃除」だ。

それでも諦めきれず「あの、今日はお店やってますか?」と聞いたところ、ご主人は「申し訳ございません、年内は営業を終わっちゃいまして・・・」と、すまなそうに何度も何度も頭を下げる。

その様子は、うかつに声を掛けてしまったことを、こちらが後悔するほどだった。

次の営業は年明け1月6日の月曜日からだという。

ま、しょうがない。年明けまでしばらくお預け。

茨城県水戸市 鳥半 夜 外観 (1)

そして年が明け、令和に入ってからの最初の成人の日。

年末年始の休みが終わってから、最初の日曜日に、いよいよ鳥半に伺うことができた。

お店には駐車場が無さそうだったので、近くのコインパーキングにクルマを停めた。

時刻は午後4時30分。おそらく夜の部は午後5時ごろだろうから、まだお店の夜の開店にはちょっと早い。

時間つぶしのため、小雨の中を歩いてお店に向かうことにした。

茨城県水戸市 鳥半 夜 外観 (5)

雨の中、備前掘りの辺りをプラプラして、店が開くまでの時間を調整する。

後に知ったのだが、今日の目的のお店「鳥半」は、午前11時30分の開店から、午後9時の閉店まで、中休みを取らずにずっと営業している。

勝手に昼の部と、夜の部に分かれているのかと思い込んでいた。

つまり、時間を調整する必要なんてなかったのだ。

それにしても、この備前掘り辺りのレトロな風景は、何とも言えない味がある。

外観

茨城県水戸市 鳥半 夜 外観 (3-1)

鳥半に到着。

店は通りから少し住宅地に入ったところにあり、あまり目立たない。

それにもかかわらず、お店の存在をアピールするようなノボリは置かれていない。

さらに、店のメニューを書いた黒板のようなものも存在しない。

この外観からは、いったい、どれくらいの価格帯の店なのかを推測するのは難しい。

何も知らなければ、おそらく腰が引けて、私は暖簾をくぐろうとは思わないだろう。

しかし、ありがたいことに現代はネット社会。

ちょいとネットで調べれば、ここがどんな店で、どれくらいの価格帯の店なのかを前もって知ることができる。

便利な世の中だ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 外観 (4)

通りに向けて、控えめにアピールする店の看板。

「チキングリル 鳥半」

店の名前が鳥半だと分かっていても、この「鳥」の字は、まったく読めない。

でも、チキングリルくらいなら、私でも読める。

ここ鳥半は、鶏肉料理がメインのお店。

茨城県水戸市 鳥半 夜 外観 (2) 

さっそく藍色の暖簾をくぐる。

戸を引いて店に入ると、左手には傘置きがあり、正面には壁。

おそらく、客が出入りをする際に、冷たい外気が店の中に吹き込まないような工夫なのだろう。

壁を右からまわるとカウンター席が見える。

店内の様子

茨城県水戸市 鳥半 夜 店内の様子 (3)

いきなり度肝を抜かれる。

ご主人と思しき男性は、座敷のすみに寝転がっている。

おや、死んでいるのかな?

 

いや、死んではいない。重ねた座布団を枕にしてテレビを見ているようだ。

主人はまるでタイの「寝ている仏像」のような恰好で、こちらに側に足の裏を向けて寝ている。

そのありがたいお姿に思わず、両の手のひらを合わせて合掌したくなる。

いや、全然ならない。

 

ひょっとして、まだ開店の準備中なのか? とも思ったが、とてもじゃないが、開店の準備しているようには見えない。

戸惑いながら「あ、あの、やってますか?」と尋ねてみる。

すると、60代後半から70代と思われる主人は、その年齢には見合わない素早さで、ガバッと上体を起こす。

「あ!  あ!  あ!、ハイハイハイ!、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ!」

 

そして、いそいそと厨房の中へと小走りで入っていった。

客がいないとはいえ、なんぼなんでも、リラックスし過ぎ・・・

茨城県水戸市 鳥半 夜 店内の様子 (4)

お店に入ったのはちょうど午後5時。

早い時間だったせいなのか、はたまた冬の雨の日のせいなのか、他に客はいなかった。

さっぱりとした店内。

客は私一人きり。

なので「どちらでもどうぞ!」と、ご主人に勧められるまま、小上がりのテーブルを使わせてもらうことにした。

テーブルの上には調味料の類はなく、スッキリとしている。

スッキリしすぎていて、よく見るとメニューもない。

どうやらこの店のメニューは、カウンター上の壁に張り出されている紙に書かれている物だけのようだ。

あらめてカウンターの方に近づいて、壁に張ったメニューを拝見する。

茨城県水戸市 鳥半 夜 店内の様子 (1)

意外と庶民的な価格設定。

時価の「寄せなべ」や「とりなべ」を除けば、1番高額な「海老天ぷら」でも1,500円。

和食の専門店かと思いきや、ハンバーグやローストチキンなんてのもあって、意外と洋食屋的なラインナップもそろっている。

どうやら、ここ鳥半って店は、和食洋食を問わずに、鳥肉を軸にした料理を出してくれるお店のようだ。

カツ丼や天丼も気になるが、何となく親子丼(800円)と、ついでに焼き鳥(500円)を注文した。

茨城県水戸市 鳥半 夜 お茶

お茶。

4人掛けの卓に腰を下ろすと、すぐにお茶が出て来た。

ご主人から「はい、熱いのでお気をつけて」と、湯呑を手渡し。

お茶の色はやや薄めだが、緑茶ならではの良い香りが漂う。

このお店は、ご主人一人で切り盛りされているのだろうか。

 

それにしても、ここ鳥半のご主人は腰が低い。とても丁寧で、そして礼儀正しい。

だがそれは、過剰にペコペコしているってコトではない。

このご主人、おそらく70代前後というお歳なのだが、遥かに年下の私に対する態度や、受け答えがいちいち丁寧で、なんだかこちらが恐縮してしまう。

そしてそれが、決して上っ面な態度ではなく、ほんとうに客に対して敬意をもって接しているということが、言葉や所作のはしばしから伝わってくる。

好人物。

だから、座敷で寝ていたことなんて、この際どうでもイイことのように思えてきた。

茨城県水戸市 鳥半 夜 店内の様子 (2-1)

余計な装飾品を徹底して排除した店内。

きっちりとした性格なのだろう。もしくはミニマリストというやつだろうか。

そんな店内に飾られた額の中に入った何か。

この色紙って、なんだろう?

これが何なのかは分からないが、きっといいものなのだろう。

 

座敷には3つの卓があり、それぞれ真上にはシーリングライトが設置されている。

昼白色のライトで照らされた座敷は、どこぞのお宅の居間にでもいるような雰囲気だ。

親子丼と焼き鳥

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (1)

10分少々で親子丼が到着。

これもご主人からの手渡し。

「ご飯を多めに盛っておきました」

そりゃ、ありがたい。

 

さて、親子丼だが、正直、驚いた。

めちゃくちゃ美味そうじゃん!

 

理想的なルックスの親子丼。

「視覚」と「味覚」はすっかり混乱して、食べる前にも関わらず、視覚が「美味しい」という情報を脳に伝えてしまう。

この親子丼は、奇をてらったところなど全くない。

どストレートな親子丼。それを、こんなにも美味しそうに作ることができるのか。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (9)

半熟の溶き卵が、ツヤッツヤに輝く親子丼。

鰹出汁と醤油の香りがほのかに漂ってくる。

なんなら、ちょっとした芸術作品といってもいいような、そんな親子丼。

Google mapの、あの熱のこもったレビューは正しかった。あの口コミを信じて良かった。

 

親子丼の「親」の役割を担っているのは、もちろん鳥肉。使用されている部位はモモ肉。

この鳥肉は、それほど驚くような肉質ではないのだが、ふっくらと仕上げられていて、丁寧な仕事振りが伺える。

さっきまで、座敷で寝ころんでいたおじいちゃんの仕事とは思えない。

 

さっそく、はしっこの方を箸で摘まみ上げる。

ふるふると揺れる半熟の卵と一緒に、もちろん鳥肉も。

慎重に口に運び、奥歯で噛みしめると、鳥肉の美味しさが口の中に広がる。

鳥の旨味と、鰹の旨味のコラボ。こりゃブラボー。

鳥肉が驚くほどたっぷりと入っている。

個人的な好みで言えば、ご飯の上に刻み海苔が乗っていればサイコーだ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (8)

出汁をよく含んだ卵は、火が通ってフワっとしている部分と、生卵のトロっとした部分がある。

正真正銘のフワトロ。

このフワトロが、食感に不規則なグラデーションを作っていて、食べていても常に変化があり、一口ごとに違う表情をのぞかせる。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (7)

どんぶりはかなり大きめ。

この大きな丼は、なんならガッツリ系といっても良い。

その大きな丼を埋め尽くすほど、鳥肉がふんだんに使われた親子がのっている。

鳥肉は、一口大に切られていて食べやすい。

つまり、この親子丼はパクパクといけちゃう。

 

それにしたって鳥肉と卵。なんとも単純な組み合わせ。

そんな単純な食材が、こんなに美味しくなるって不思議だ。鶏という食材の旨さと栄養を丸ごと味あわせてくれる。

 

この日、私の「美味い親子丼の基準」が更新された。

これこそが、まさに美味い親子丼だ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 焼き鳥 (1)

「お待たせしましたー」

と、ご主人が焼き鳥を運んで来てくれた。

そういえば、焼き鳥も注文したんだっけ。すっかり忘れていた。

 

焼き鳥は、もも肉が3本。

肉の真ん中にネギが挟んである。

ネギの焼き具合と、鳥肉の焼き具合が極端に違う。ネギのコゲ具合に対して、鳥肉はコゲがついていない。

火を通してから串に刺したのだろうか?

注文するときに、焼き鳥の味付けをタレ、または塩のどちらかを選ぶ。

迷わずタレで注文した。

個人的には、タレを絡めた鳥肉に、コゲが有るくらいの焼き鳥が好み。

とりあえず焼き鳥はいったん、わきに置いておいて、まずは絶品の親子丼をいただいてしまおう。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (3)

玉ねぎがふんだんに入っていて、玉ねぎの自然な甘みは鳥肉の旨味とともにタレの中に滲む。

フワっとした卵と、玉ねぎのシャクシャクとした食感のコントラストがなんとも心地よい。

塩気は控えめ。カドのないまろやかさ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (4)

親子の子である卵。

こう言っちゃなんだが、卵なんてものは、10個1パックでなんぼかの安い食材。

そんな安い食材が、こんなに美味しくなっちゃうのが不思議だ。世界で8番目の不思議。

たぶん、卵はLサイズを2つくらい、Mサイズなら3つくらいの量が使われている。

出汁と、鳥肉の旨味を吸い込んだフワフワの卵。

 

しかし、唯一残念なのは、三つ葉。

この親子丼の三つ葉は、溶き卵を被ってしまっていて、残念ながら見た目も、それに風味もいまいち。

調理の最後の最後に三つ葉を散らしてくれたら、どんなに良かっただろう。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (5)

ご飯もすばらしい炊きあがり。

見事に米のひと粒ひと粒が立っていて、タレをまとった米粒は、黄金色にキラキラと輝いている。

タレがしみ込んだ部分と、しみ込んでいない白い部分があり、これも味が単調にならないようになっている。

卵かけご飯、いわゆるTKGのアップグレード版。

完全上位互換だ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (2)

味噌汁は豆腐とわかめ。

味付けは好みだったのだが、わかめに少し火が通り過ぎていて、ちょっとテロテロ感が出ちゃってた。

お椀がけっこう大きめで、味噌汁だけでもお腹にたまる。

こし器が使われていないのが実にもったいない。

茨城県水戸市 鳥半 夜 親子丼 (6)

たくあん。

たくあんは4切れ。

定食とか、丼物に付いてくる漬物の数は、一切れ(人切れ)、三切れ(身切れ)を連想させるため、これを嫌がって、二切れになったと聞いた。

そんな話を、小学校のテストの裏に載っていたコラムで読んだ記憶があるけれど、そんなコラムってあるのだろうか?

ひょっとして、記憶が混乱しているのかも。または加齢のせいかも。

それにしても、たくあんが二切れではなく、四切れとはなんとも気前のいい話だ。

 

和食では、香の物(お漬物)は、最後に頂くのが正しいマナーらしい。

普段であれば、和食のマナーなんてあまり気にはしない。

しかし、丼物となれば、話は別だ。

丼の中で、タレを吸ったお米を「かき集める」のに、漬物の一切れほど役に立つものはない。

漬物を一つまみして、茶碗の中の米粒をまとめて、口の中に放り込む。

和食のマナーにのっとった、美しいフィニッシュ。

茨城県水戸市 鳥半 夜 焼き鳥 (5)

さて、いよいよ焼き鳥にとりかかろう。

ネギマ。

ところで、鳥肉と鳥肉の間にネギがあるから「ネギマ(間)」ってワケではないらしい。

ネギマのマとは、なんとマグロのマ。

ネギとマグロの串焼きに似ているから、ネギマなんだだそうで。

茨城県水戸市 鳥半 夜 焼き鳥 (3)

いい色、いい照りをしている。

でも、秘伝のたれってワケではなさそうだ。

文句なく美味しい焼き鳥だけれども、タレにはあまり深みがない。

 

ご主人はテレビのチャンネルをNHKに合わせ、夕方の相撲中継を見始めた。

どうやらご主人、なかなかの大相撲ファンらしい。

取り組みが始まると、「あー!あー!あー!       あぁ・・・」

と、とてつもない興奮状態になる。

ちょっとしたトランス状態で、すっかり彼の心は、両国国技館にトリップしちゃっている。

大相撲観戦中の興奮によって、血管が切れたりしないのだろうか?

ご主人のその様子を見ていると、ひょっとして、お年寄りの死因の中に「大相撲の観戦」があっても不思議ではないんじゃないか?という気になる。

なんにせよ今、目の前でポックリと逝かれたら困る。

茨城県水戸市 鳥半 夜 焼き鳥 (4)

ガス火で焼かれているためか、炭火のこうばしい香りはない。

ガスは水素が含まれているため、水気を含んでパリっとは仕上がらない。と、言われているが、この焼き鳥は十分にパリッとしている。

 

薄味仕立てはありがたい。

ただ、もし私がお酒と一緒に焼き鳥をいただくなら、もう少しだけ醤油のトゲが残っていて欲しい、と思うかもしれない。

それはともかく、美味しい焼き鳥だ。

また、白いご飯が欲しくなる。

茨城県水戸市 鳥半 夜 焼き鳥 (2)

焼き鳥も頂いてお会計。

かえりの間際に、ご主人がお尋ねになった。

「どうでしょうか、お腹?  お腹にたまりました?」

なんとも心優しいお気遣い。

もちろんです。ぜひまた伺いますと約束し、お店を後にした。

次の日の夜

その約束通り、翌日また、鳥半に伺うことにした。

他のメニューも試してみたいという欲求が、ムクムクと沸き上がっちゃって、どうしようもない。

茨城県水戸市 鳥半 みちすがら

前日と同じコインパーキングにクルマを放り込んで、鳥半を目指して歩く。

日中は天気が良かったこの日だが、夕方に雹が降り、路面を濡らした。

茨城県水戸市 鳥半 看板

暖簾をくぐり、店内へ。

壁の向こうの座敷で、またご主人が寝ているかもしれない。

油断しきって横になっているところをお邪魔してしまうのも、なんだか申し訳ないし、そしてなにより気まずい。

だから、来店したことが分かるように「ごめんください」と、とびきり大きな声で挨拶をしながら店に入った。

また万が一に、ご主人が寝ていたとしても「起き上がるのに十分な間」を作ってから、壁の向こうの座席をうかがった。

 

寝てた。

 

前日と寸分たがわぬ、寝仏のようなありがたいお姿。

そして前日と同じように「あの・・・」と声を掛けると、やはり寸分たがわぬ取り乱しようで、いそいそと調理場に入っていった。

茨城県水戸市 鳥半 割り箸

紙ナプキンのケースに突っ込まれた割り箸。

この割り箸はヒノキかな。

とても使いやすいお箸だった。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン メニュー

カウンター席の上のメニューから、ローストチキンを注文する。

ローストチキンは単品メニューだそうで、ご飯は付いていない。なので、いっしょにご飯(200円)も注文した。

ちなみに、ご主人のオススメのメニューはチキンかつだとか。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン お茶

お茶は手渡し。

今日のお茶は濃い。

座敷の角に設置されているテレビでは、NHKの大相撲中継がはじまった。

非常に悪いタイミングでお邪魔してしまったことを後悔した。

ご主人が、ある意味「命をかけて」楽しんでいる大相撲中継の時間に来店してしまったのだ。

 

しかしご主人は、大好きな相撲のテレビ中継には目もくれず、私が注文した料理を手際よく作ってくれている。

トトトトトトトン。

 

テレビでは、横綱白鳳と遠藤の取り組みが始まった。

私は、とくに大相撲には興味がない。相撲の素人。

きっと相撲好きなご主人は、この一番を見たかったことだろう。

しかしご主人は、テレビには気を向けず、ローストチキンを調理してくれている。

やがて調理場の方から、鳥肉を焼く美味そうな香りが漂ってきた。

何だかとても申し訳ない気持ちになった。

茨城県水戸市 鳥半 ご主人のリラックス用

座布団3枚でこしらえた、ご主人専用の簡易ベッド。

 

さて、いよいよ横綱白鳳と遠藤の取り組みがはじまった。

現在、白鳳は遠藤に対して7連勝中だとか。

立ち合い早々に白鳳は右からの上手投げを仕掛け、それを遠藤がこらえる。

ちいさな土俵の中で、右に左に、二人の力士の優勢劣勢は、目まぐるしく入れ替わる。

相撲素人の私が見ても、勝敗の行方がまったく分からない展開。すこし興奮してくる。

 

アっ!」

「あぉ! あっオぉぉ! ああぁ!あっ!あっ! ・・・   あぁぁぁあぁ・・・!

突然、調理場から、まるで発情期のアザラシの鳴き声ような、素っ頓狂な声が聞こえてきた。

いつの間にか、ご主人は調理の手を止めて、すっかり相撲中継に食い入るように見いっている。

どうやら、我慢できなかったらしい。

やっぱり大勝負を見たかったのだろう。

 

横綱の白鳳が上手投げを仕掛ける。それを遠藤がこらえて、こらえて、こらえてからの切り返し。

横綱が土俵にころがる。

勝負は遠藤の大金星に終わる。

 

「おおぉ!おぉぉ・・・!」

しばらくして、ご主人は、荒い鼻息を落ち着かせると、ふたたび調理を再開した。

ローストチキン

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (11)

そして注文から10分ほどで、ローストチキンとご飯が配膳された。

ローストチキンはサラダとワンプレートで、サラダのドレッシングは自家製だそうだ。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (10)

鳥肉の上には一面に玉ねぎとニンジンのソテーが乗っている。

そして、にんにく。

野菜の甘みが鳥肉にからみ、鳥肉の旨味が野菜にからまっている。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (5)

ソテーされた野菜の下には、こんがりと焼きあげられたチキン。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (9)

前の日と同じ、豆腐とわかめの味噌汁。

この日はこしきが使われていて、昨日の味噌汁よりも断然に美味しい。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (8)

ご飯と味噌汁は別に注文。

ご飯は皿で出て来た。

皿に盛られた山のようなご飯。

米が美味い。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (7)

付けあわせにトマトとレモン。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (4)

皮目には「これでもか」ってほどに火が通っていて、文句なくパリパリの仕上がり。

ニンニクの効いた塩だれが、ご飯の消費をブーストする。

ふんだんに添えられている生野菜と玉ねぎのソテーがうれしい。

甘い玉ねぎと一緒にローストされた鳥肉を頬張ると、嘘のように大盛りのご飯の山が削れていく。

プレートに添えられているレモンを絞ると、また違った魅力を発揮して、またメシの山を削る。

レモンって、こんなに鳥肉に合うのか。

そういえば、鶏の唐揚げにもレモンが付いてくる。

唐揚げの場合、レモンを「かける or かけない」で、世間ではモメ事のタネになっている。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (6)

生野菜のキュウリにはひと仕事されていた。

細かく包丁でレイヤーが付けられたキュウリは、シャキシャキとして歯触りがとてもいい。

こんがりとグリルされたチキンと、同じくグリルされて甘みと旨味が引き出された玉ねぎ。

こってりとした鳥肉の旨味を楽しみつつ、たまに生野菜で口をリフレッシュすると、また鳥肉を美味しくいただける。

ローストチキン。これは、いくらでもご飯を食べられそうだ。

 

だが、生野菜とチキンが同じプレートにのっているため、時間が経つとともに、ドレッシングの塩分によって野菜から水分が出て来た。

せっかくパリパリのチキンに余計な水分にひたってしまい、食感を損ないはじめる。

できれば、生野菜は別の器で出してくれたらありがたい。

茨城県水戸市 鳥半 ローストチキン (3)  

このお店「鳥半」はネット上でも情報が極端に少ない。

営業時間も、定休日もわからない。

会計の際に、ご主人に定休日はいつなのかを聞いてみたところ「はい、第一日曜と第三日曜です」と、いつものように丁寧に答えてくれた。

私は、店の休みが、月にわずか2日ということに驚いた。

「お休みって、月に2日なんですか」と率直に聞いた「お疲れになるでしょう?」

しかしご主人は「ハイ、それで50年間やらせてもらってます」と、事もなげにおっしゃる。

 

50年間って、半世紀か。

そんな途方もない時間をかけて、一人の料理人が磨き続けた鳥料理なのか。なるほど。

ご主人のお歳、おそらく70代ということを考えると、客がいない時に座敷に寝ることくらいは許されるんじゃなかろうか、と思う。

 

いや、むしろいつでも横になって、ぞんぶんに体を休めてほしい。

そして、いつまでも、美味しい親子丼を食べさせてください。

 

ごちそうさまでした。

鳥半の基本情報

鳥半の場所はこちら

水戸駅からは1.5Kmの距離で、徒歩で20分。

鳥半の基本データ

 鳥半の基本情報 

 住  所 

 〒310-0817 茨城県水戸市本町1丁目4−5

 電  話 

 029-221-7230
 029-231-4070

 営業時間 

 11時30分~21時00分

 定 休 日 

 第1日曜日
 第3日曜日

鳥半のメニュー

※ 価格は2020年01月のもの。

 メニュー 

 さしみ定
   1,200円

 さしみ盛合せ
      時価

 海老天ぷら
   1,500円

 天ぷら定
   1,200円

 唐揚
     700円

 天丼
     850円

 かつ丼
     800円

 親子丼
     800円

 やきとり
     500円

 チキンかつ
   1,200円

 ローストチキン
   1,200円

 ハンバーグ
     800円

 チキンサラダ
     800円

 盛合せサラダ
     700円

 よせなべ
       時価

 とりなべ
       時価

 酒
     400円

 ビール
     600円