水戸で本場タイ・ベトナムの屋台の味を楽しめる「YUMMY TOMMY(ヤミー・トミー)」でランチを頂いて来たので、さっそくレポートだ。
前置きが無駄に長いので、お店の様子を知りたい方は下の目次から「2 ヤミー・トミーに到着」あたりから読んで欲しい。
本日のランチをいただくお店を選ぶ
お目ざめ
鼻が冷たくて目が覚めた。
枕元のスマホを手に取って、その手で布団を引っ張りあげて頭までかぶる。スマホで時間を見てみると、時刻は午前6時になるちょっと前。
目覚まし代わりにセットしているアラームが鳴りだす直前の時間。
憂鬱な月曜日の朝。ではない。今日は国民の祝日だ。おおいに祝おうではないか。
休日の朝にはちょっと早い気もするが、そろそろ布団から出るとしよう。
今朝の空気はいつもよりもだいぶ冷たい。
もう冬の始りなのかもしれない。
ぼっちな朝食
やあ諸君、ごきげんよう。
私がぼっちメシ研究所のジャムだ。
さて、シャワーを浴びた後、コーヒーを入れて、前日に買ったサツマイモをオーブンで温めて朝食の代わりにした。
このサツマイモは地元の直売所で買ったもので、普通なら市場に出荷されないような、だいぶ小ぶりのサツマイモ。
キロ180円という安さに飛びついた。
焼いたサツマイモの香りが食欲を誘う。少し焦げた皮をむいて一口頬張ると、アッツアツのホックホク。
甘みたっぷりのサツマイモが口の中いっぱいに広がる。
さすがサツマイモの名産地、茨城県と言ったところだろうか。
ひとり者の気安さで、私は誰に遠慮することもなく、朝から好きなモノを食べることができる。
なんだったら「すきやばし次郎」や「ポール・ボキューズ」や「ジョエル・ロブション」なんかで朝食を食べる自由があるのだ。
ま、今日のところはサツマイモにしておこうか。
ヤミートミーへ
私はPCを立ち上げて、日ごろピックアップしてある「本日のランチ」をいただくための候補の店を眺めながら、ホクホクのサツマイモを夢中で頬張った。
甘くておいしい。
無我夢中でサツマイモを貪り食う自分にたいして、
「戦時中かっ!?」
と、これ以上にないほどの的確なツッコミを入れつつ、サツマイモをコーヒーで胃に流し込む。
窓から差し込む朝日は、この一日が素晴らしい祝日になることを約束してくれている。
候補店のリストから、水戸の飲食店を探していると、そのなかの一軒の店が目にとまった「タイ・ベトナム屋台 YUMMY TOMMY」。
へぇぇ、タイ・ベトナム料理?
今朝のブレックファーストの焼きイモで、すっかり甘ったるくなった口の中を、ピリっと絞めなおすのにタイ・ベトナム料理はちょうど良いかもしれない。
よし、今日のランチはここで決まりだ。
ヤミー・トミー
飛ばしに飛ばしてヤミー・トミーに到着。水戸市に着いた頃にはだいぶ雲がでてきた。
けっこう頑張って走ってきたのだが、スピードは出てもせいぜい280Km/hに届いたか、どうかってところだろう。
向かい風の中を必死になって自転車で走って来たので、いつの間にか髪がオールバックになっていた。
なんだか長州小力をもうちょっと、本家の長州力に寄せた感じ。さしずめ、長州中力くらいの具合だ。
パステルカラーが中心のすてきな色使い。
こちらの窓からバインミーのテイクアウトができるようだ。
ヤミートミーの店内に入る。
お店の中は、ポップでカワイイ装飾がほどこされている。
急いできたかいがあって、店内にはまだ客はいない。
大変にお美しい女性店主に出迎えられた。かなりの美人さん。写真撮影の許可をいただいて店内を撮影した。
店内はとてmの清潔で、可愛くて、ミニマムで居心地が良い。
なんだか色々とカワイイ感じの店内。
この色彩感覚って東南アジアに由来するのか、はたまた女性店主の感性によるものなのか。
今日もぼっちらしく、カウンターに一番すみっこに座った。
ヤミー・トミーのランチメニュー
ベトナム・フォーセット 800円。
タイ・カレーセット1000円
ガパオ・セット1000円
カオマンガイ・セット1000円
バインミー・セット800円。
東南アジアの料理は実際に食べてみないと味が分からないことが多い。
私は素直におススメメニューを聞いてみることにした。
店主「そうですねぇ・・・バインミーというサンドイッチですとか、あとは・・・最近だとグリーンカレーとも良く出ていますよ」とのこと。
じゃ、グリーンカレーでお願いします。
ヤミートミーのグリーンカレー・セット
注文してから10分ほどで配膳された。
サラダ
ちょいとピリ辛のドレッシングがかかっていた。
特に驚くようなサラダではないがこれくらいで十分だ。
グリーンカレー。
茄子、鶏肉、タケノコ。
しめじが入っているのがちょっと変わっているなと思った。
本場のタイではゲーンと呼ばれている料理。
このカレーはそれなりに辛いけど、辛すぎることもなくて食べやすい。
ココナッツの甘い香りとスパイシーな辛さ、そして酸味と、なにか深い旨味が出ている。
クセになる美味さ。
ジャスミンライス
ジャスミンライス。
衝撃・・・ッ!!
これ、この米は驚くほど美味い。
とんでもなく美味い。
米の粒感がしっかりしていて、かみしめるたびに米の旨味と香りが溢れてくる。
私が好きなお米である「つや姫」並み。いや、ひょっとするとそれ以上に美味いかもしれない。
信じられない。
こう言ってはなんだが、ここ日本ではタイ米は「不味い米」の代名詞のようになっている。少なくとも40代以上の日本人にとっては。
1993年の米騒動。冷害による米不足。日本中から米が消えたあの年。
当時の日本政府が近隣の外国から緊急輸入した米のひとつにタイ米があった。
マズイ、クサイ。
そんな評判がメディアのネタとなって、連日のように面白おかしく報道された。
タイ米を持て余した米の販売店は「日本米との抱き合わせ販売」や、「日本米とのブレンド米」などの最低な創意工夫をこらして、より一層タイ米の悪評を加速させた。
その当時を経験した私たちの世代は、繰り返し聞かされるプロパガンダによって「タイ米=不味い」と、そんなレッテルが脳みそにガッツリと一本の太いシワとなって刻み込まれた。
しかし、その不味いはずのタイ米が、とんでもなく美味い。
この美味しいお米ってなんですか?
あまりの美味さに、店主に聞いてみた。
私「このお米ってなんですか?」
店主「お米はジャスミン・ライスです」
私「へぇ、そうなんですかぁ・・・」
あー、いやいや、そうじゃない。
私が知りたいのはソコじゃない。
私は調理方法を聞いたのではないのだ。この米の品種、それそのものが知りたいのだ。
話が噛み合っていない・・・
この時はそう思いつつも、この女性店主の美貌を前にして、私はそれ以上言葉を続けることができなかった。
しかし、実際のところ、噛み合っていないのは話の方ではなく、私のおつむのネジの方だった。
ジャスミン・ライス
カレー・ライス、サフラン・ライス、ジャスミン・ティー。
カレー・ライスはカレールーをかけたライスだし、サフラン・ライスはサフランで風味付けされたライスで、ジャスミン・ティーはジャスミンの香りのお茶。
うん、十分納得のネーミングだ。
ジャイアント・馬場はジャイアントな馬場で、アントニオ・猪木はアントニオな猪木だ。
うん、これも問題ない。
しかし問題は「ジャスミン・ライス」だ。
これまでの文脈で言えば、ジャスミン・ライスは「ジャスミンで味付けされたライス」であってしかるべきではないか。
しかし、事実はまったく違っていた。
この信じられないくらいに美味しいお米の品種名こそが「ジャスミンライス」。
この日の夜、ネットを使ってジャスミンライスについて調べてみた。
私はそれまでジャスミンライスという言葉自体は知っていたが、その言葉が指すものが「調理法」ではなく「米の品種」だということをこの時に初めて知ることになった。
ジャスミンライスの価格にたまげる
ネットでジャスミンライスの販売価格をしらべたところ、およそ5Kgで3,000円近くする。
山形県の美味しいお米「つや姫」が、5Kgあたり約2,300円なので、ジャスミンライスはそれよりずっと高い。かなりの高級品だ。
しかしその実情はちょっとちがっているようだ。
関税。
ジャスミンライスが高価格な理由、それは日本の関税によるものだった。
日本はお米を輸入する際に米1キロ当たり341円というバカ高い関税を課している。
米5Kgなら、なんとその価格には1,705円の税金が乗っかってくる。
うっひょー。
国内の産業を守るためには仕方がないのかもしれない。しかし率直に言って高い関税だ。
私の祖父母は米農家だったから、間接的には私の生活もこの高い関税によって守られてきたわけで、なんだか複雑な気持ちになる。
ちなみタイは、お米の最大の輸出国なんだとか。
自転車を飛ばしてきたので喉が渇いた。
ライチジュースを頂く事にした。
ジュースを飲んでいると、私と同年代の男性客が入って来て、ランチのフォーのセットと、単品で塩サバのバインミーを注文した。
バインミーを追加で注文
グリーンカレーは美味しかったが、食べ盛りの私にとってはそれだけではちょっと物足りない。
それにせっかくだし、バインミーを食べてみたい。
グリーンカレーの料金を精算し、店の外にある単品のバインミーのラインナップを見るためいったん店を出た。
バインミーをチェック。
ところでこの看板、黒板だろうか?
けっこうメニューは豊富でおおいに迷う。
どれでも500円。
チキンバインミー
たっぷりのチキンパティに野菜、甘酸っぱい「なます」をサンド。
塩サバのバインミー
脂ののった塩サバに、レモンソースを合わせた大人気のバインミー。
豚焼肉のバインミー
特製のベトナムの焼肉のタレで焼いた豚ロース肉を丸ごと一枚分サンド。
海老とアボカドのバインミー
プリプリの海老とたっぷりのアボカドに、レモンソースを合わせたバインミー。
シウマイのバインミー
皮のないベトナムのシウマイの具に、濃厚トマトソースとピリ辛のタレがマッチ。
ビーフバインミー
ビーフパティと、甘酸っぱい「なます」をサンド。
塩サバのバインミーも美味そうだが、鯖サンドってトルコのイメージがある。
そしてなによりカウンターの隣の客はサバ喰う客だ。
同じものを注文するのもアレなので、ここはちょとずらして「プリプリの海老とたっぷりのアボカドに、レモンソースを合わせたバインミー」を頼んでみよう。
店主「パクチーは大丈夫ですか?」
もちろん、マシマシで。
お水をいただきながら、バインミーの到着をまつ。
サーモス製の水差しの中には冷え冷えのお水をがたっぷり。
こちらがバインミー。
オーダーしてからすぐに届いた。
考えてみれば、パンに具材を詰めるだけの料理だから、時間の掛けようもない。
大きさはコッペパンくらい。
酢漬けの大根とニンジン。いわゆる紅白なますが挟んであってポリポリした歯ごたえ。
パンと大根という、ちょっと変わった組み合わせは意外なことに悪くない。
魚醤とパクチーがアジアンテイストを盛り上げてる。
このパンはフランスパン的な固さ。でももっと柔らかい。
ニョクマムとか、ナンプラーといういわゆる魚醤がパンに馴染んでいて美味しい。
パクチーの前では海老とアボカドは存在感無かった。
次の機会にはサバのバインミーを食べてみよう。
ごちそうさまでした。
カウンターの背中側には本棚があって「地球の歩き方」なんかのトラベルガイドが並んでいた。
東南アジア方面によく旅行されるそうだ。
追加したバインミーの料金を払って店をでる。雨が降りそうだ。
急いで花水木に向かおう。
お店の予定は店の前のカレンダーに書かれている。
木曜日が定休日のようだ。
週末は、あちこちのイベントに出店しているようだ。
タイ・ベトナム屋台 YUMMY TOMMY(ヤミー・トミー)の場所はここ
JR常磐線の水戸駅からは、北口をでて1.5kmの距離。歩きで20分。
同じくJR常磐線の偕楽園駅からは1kmと近く歩きで15分ほど。
水戸京成の交差点を千波湖方面に入るとお店がある。
駐車場はないので、付近のコインパーキングを利用してね。
このお店に駐車場はないが、付近にはたくさんの民間駐車場があるので心配ない。
すごく、どうでもイイ話
サツマイモの思い出
これから話すのは、私がまだ若かったころの話だ。
ある日いつものように学校を終えた私は自宅に帰り、なにげなく冷蔵庫を開けてみた。
すると冷蔵庫の中に、スーパーの白いビニール袋に包まれた大量のビーフジャーキーを見つけた。
白いビニール袋は二重か三重になっていて中身が分からないようにしてあるが、そんな陳腐なカモフラージュでは私の眼はごまかせない。中身がバレバレだ。
私には海外旅行好きな叔母がいて、よく旅行先の珍しいお土産を持ってきてくれる。
ある時などは、東南アジア旅行のお土産としてココナッツの実か何かを丸々1つ貰ったことがある。
一体そんなものをどうしろと言うのだろうか?
この冷蔵庫の中のビーフジャーキーも、叔母が持ってきてくれた土産だと直感的にわかった。
テンションが上がった私はすぐ、その当時付き合いのあった友人達に電話をかけた。私の家に集まって、ビーフジャーキーをつまみに酒を飲もうと提案をしたのだ。
「ビーフジャーキーがあるんだ! それも、しこたま!!」
夜になると友人たちが集まり、皆で酒の買い出しに出掛けて、大量のアルコールを仕入れた。
友人たちに、酒の肴としてビーフジャーキー振舞うため、冷蔵庫から白いビニール袋を引っ張り出して、私はそのビニール袋を開けた。
すると目に飛び込んできたのは大量の「干しイモ」。
白いビニール袋の中はビーフジャーキーなんかじゃなかった。
二重、三重になった白いビニール越しにビーフジャーキーに見えた物は、すべて干しイモ。
干しイモは、ご近所のサツマイモ農家からいただいたものだった。
友人たちの期待値を最高潮レベルにまで引っ張り上げ、そして奈落の底に叩き落とす。
そのようなむごい仕打ちをナチュラルに、そして平然とやってのける私に対し、友人たちはシビれたり、あこがれたりはしてくれなくて、一人、また一人と私から去って行き、やがて友人なんてものは一人もいなくなった。
茨城県のサツマイモによってぼっちな私が作られたのだと思うと、サツマイモに対して愛と憎しみの混じった複雑な感情が芽生える。
のかと思ったが、どやら憎しみの成分のほうがだいぶ多いようだ。
どうにかしてサツマイモにまつわる茨城県のいい思い出を紹介したくて、私の脳内を「茨城+サツマイモ」でキーワード検索したところ、まっさきにヒットしたのがこのエピソード。
サツマイモにとっても、茨城県にとってもイメージアップになる話だとはとても思えないが、思い出しちゃったんだからしょうがない。せっかくなので書かせてもらった。
いったい茨城県にいいところなんて、はたしてホントにあるんだろうか?
いや、もう少し時間が経てば、こんな話だってもしかしたら、いい思い出になるのかもしれない。