【モヤっとするお店ファイル No.001】手作り料理とはなんだろう? という哲学的な問いを投げかける店

やぁ諸君ごきげんよう。

ぼっちメシ研究所のジャムだ。

 

吹けば飛ぶような零細企業。

そこに勤めるうだつの上がらないサラリーマン。

わたしは回りの人間たちからそんな風に認知されている。

しかし、その認識は正しくない。

まったくもって誤りだ。

思い違いも甚だしい。

 

一見すればしがない会社員。

しかしそれはあくまで世を忍ぶ仮の姿。

その本当の正体は?

 

給料泥棒!

 

スゴ腕のサラリー・シーフだ。

 

さて、そんな私なのだが平日は会社に軟禁・拘束されてしまうため、たとえ昼休みであっても会社の外に出ることができない。

平日は外でランチを楽しむなんてことはとてもじゃないが不可能。

よって1週間のうち、外食できるチャンスは土曜日と日曜日の休日2日のみとなる。

 

週に2回の休みの日にはどこか美味しそうなお店を見つけてはその店へと出向き、そこで美味い料理を楽しむ。

そしてその体験をブログの記事にまとめる。

記事には、その店で「見たこと」「体験したこと」「感じたこと」をできるだけ正直に書くように心がけているのだが、しかし正直に書いてしまっては角が立つ事もある。

たとえば不味いだの、汚いだの、態度が悪いだのとそんな類のことだ。

だから、なにかしらの不満を感じたとしても、そのことをダイレクトには書かず、できるだけ婉曲的な表現をするようにしている。

新型コロナウイルスによって飲食業界が大打撃を受けるなか、それでも日々がんばって営業を続けているお店に対して、その評価や評判に傷を付けるようなことはしたくないからだ。

 

しかし、世の中にはどうしようもない店も存在する。

いわゆる「ハズレな店」。

不幸にもそんな店に入ってしまった場合には、その店のことは一切ブログに書かない。

そのため、週に2回しかない貴重な外食のチャンスの1回が潰れたうえに、記事を書けないのでブログの更新が滞ることになる。

 

この世の中で「更新されないブログ」ほど無価値な物なんてあるだろうか?

それはまるでインターネットという広大な宇宙を漂う巨大なデブリ。

いや、それ以下の存在だ。

ジョーカー(=ハズレな店)ばかりを引いていては、ただでさえ更新頻度の少ないこのブログも、やがてはそんなデブリの1つとなってしまうのだろう。

 

さて、ここまでの要点をまとめると以下の通り。

● 私が外食に出かけることができるのは、土曜日と日曜日の2日のみです。

●  ハズレなお店のことはブログの記事にはしません。

●  よってハズレなお店に当たるとブログの更新が滞ります。

あれ? 長々と書いてきたのに3行で済む話だったのか・・・

 

ということで、今までは記憶の奥深くに葬ってきた「ハズレの店」だが、ブログの更新頻度を上げるために、これからはそんなお店についても積極的に記事にしようと思う。

これぞ資源のリサイクル。

ナイスアイディア。

 

ただし先にも書いた通り、店の評判に傷をつけるようなことはしたくない。

よって、店の名前や場所などその詳細は明かさずに記事にしたいと思う。

 

さて最初に取り上げるハズレな店は『●●●●イ』。

一般的に洋食店に分類される店だ。

店は少々分かりにくい場所にあるのだが、営業を初めてからすでに30余年。それなりに長い期間にわたって営業を続けている。なんなら老舗洋食屋といってもイイだろう。

店に入ると中はログハウス調で落ち着いた雰囲気。大きな窓に面したテーブル席は明るい。

広いテーブル席へと案内され、さっそくメニューを手繰ると思いのほか料理の数が多い。

洋食を中心としたメニュー構成だが、そのなかでもカレーを売りにしていて、アレコレとトッピングを工夫したラインナップを豊富に取り揃えている。

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店のおススメは『スペシャルカレー』1,480円。

 

カレーと言えば町の定食屋なんかでもよく見かけるお馴染みのメニュー。

カレーの専門店は別として、たいての店においてカレーはボトムラインを担う安めの料理。

たいていは600円前後の値が付けられているのが普通で、運がよければワンコインで収まることもある。

カレーはいつでも庶民の味方だ。

 

しかしこの店のスペシャルカレーの値段は1,480円と、カレーとしてはかなり強気の値付け。

きっと物凄くスペシャルなカレーに違いない。

大人が休日ランチに食べるカレーとして実にふさわしい。

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さてこちらが『スペシャルカレー』。

ハンバーグ、唐揚げ、トンカツ、エビフライと洋食界のスターたちがそろい踏み。

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さらにナスとピーマンの素揚げも付いて彩りを添える。

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ご飯もカレールーも盛りがいい。

なるほどこりゃスペシャルなカレーだ。

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さっそくトンカツにカレールーをかけて食べてみる。

 

ん? あれ?

これって・・・

 

このトンカツって冷凍食品じゃないか。それにカレーはレトルトだ。

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冷凍食品やレトルト食品を否定する気はない。

冷食やレトルトは長期保存ができ、そして忙しい調理の手間を省いてくれる。

なおかつ調理に失敗するリスクもなく、一定のクオリティーを保った味を確実に約束してくれる。

なにより安価に入手できるってのが実にありがたい。

なにかと時間の少ない現代人にとって、冷食やレトルト食品は食生活に欠かすことはできない存在といえる。

それに私自身もよくレトルト食品のお世話になっている。

ほんとうに素晴らしい発明品だ。

これこそがまさに人類の進歩と言える。

 

しかしだ。

仮にも調理のプロフェッショナルである料理人が、このレトルトと冷凍食品を一皿に盛り合わせただけの料理で1,480円もの大金を客からブン取るってのは、いったいどういう了見なんだ? あぁん?

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さらにちょいと癪にさわるのは、それなりに美味しく食べられちゃうってことだ。

でも考えてみればそれはごく当たり前のこと。

食品メーカーが威信をかけ、多額の開発費と優秀なスタッフを多数投入して作り上げた商品なのだから、これが不味いわけなどない。

だからこそ料理の味付け、そのすべてをメーカーに丸投げにし、さらに安くない金をとろうとしているこの店の姿勢に腹が立つ。

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業スーで買ってきた冷凍食品をレンチンして、湯煎で温めたレトルトカレーをぶっかけた白飯の上にチマチマと並べ「これがスペシャルカレーでござい」と胸を張る。

あげくに1,480円という法外な金をブン取る。

こんな暴挙が許されるのか? 

料理人としての矜持はどこにいったのだ?

 

あぁん、もぅ!

なんだかすごくモヤモヤするー!

ムキーーーっ!!!!

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料理人の技と感性と情熱をかけ、客前に出せる味を完成させるまでの長い年月の間に重ねてきた膨大な努力と工夫。

その末に真心を込めて作り上げる料理。

そういう料理を食べたいのだ。

ある1人の人間が、料理人という生き方を選んだその日から、そして今日に至るまで紡いできたナラティブ(物語)。

それを語ってくれ。

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と、鼻息を荒くしてみてもしょうがない。

 

まぁ業務スーパーで売っている商品を文字通り業務で使っているのだから、これ以上正しい使い方は無い気がしないでもないが。

 

にしても、コレで1,480円は無いわ。