良く晴れた冬の日曜日。
美味しいと評判になっているあるお店のウワサを聞きつけて、大洗へとやって来た。
やぁ諸君、ごきげんよう。
ぼっちメシ研究所のジャムだ。
潮騒の湯
大洗サンビーチの無料駐車場にクルマを停めて、そのお店へと向かったのだが、しかし開店時刻を過ぎているのに店は開いていない。
ひょっとして臨時休業なのか? それとも単に開店が遅れているだけなのか?
店の外観からは、そのどちらとも分からない。
しかたがないので店が開くことを期待しつつ、それまでの時間つぶしに、付近をあてもなくブラブラ歩く。
大洗の海は、冬だというのに大勢のサーファーたちで賑わっていた。
彼らはみなピッチピチのウェットスーツ姿で、まるでその恰好が成人男性としての当然の姿かのように、堂々と付近の住宅街の近くをうろついている。
厚着をしている人間なんて、私の他に誰もいやしない。
冬の大洗海岸では、ウェットスーツ姿のサーファーたちが圧倒的な多数派、いわゆるマジョリティーであって、厚着で海岸をうろつく私のほうがマイノリティー。
なんだか自分だけが場違いなようで、疎外感をおぼえる。
思わず人目を避けるように高架下の日陰に入って、お店の開店をじっと待つ。
しかし、その肝心のお店のほうは、いっこうに開店する様子を見せない。
10分ほど時間をつぶして、高架下から出てふたたび歩く。
ふと見上げると青い空に「お魚レストラン」の文字が浮かんでいる。
お魚か。
本当はハンバーガーが食べたかったのだけれども、お魚ってのも悪くないな。
なんつっても、ここは大洗だし。
外観
しかし店の入り口が見つからない。
どうやらここはお店の裏側らしいのだが、お店の正面に回る道が分からない。
何度も右往左往してから、コンクリート壁の端っこに「入り口」と書かれた小さな階段があることに気が付いた。
入り口と書かれた階段を昇ると、目の前に赤いドアがあらわれ、そこには張り紙が。
「ここは入り口ではございません」
え? ここが入り口じゃないの・・・?
茫然と立ち尽くしていると、店内からスタッフさんが窓越しに声をかけてくれた。
なんでも建物沿いにぐるっと回って歩くとお店の正面入り口に出られる、とのこと。
言われるまま、建物に沿って正面の入り口を目指す。
なんだか野良猫になったようで、ちょっと得した気分になる。
突き当りの電柱に、お店を利用する際のルール的なものが書かれた張り紙。
●水着は入場できません。砂足、濡れた衣類含む。
●入れ墨・タトゥー入浴お断りします。発見次第、即退場です。
●お手洗いのみのお客様は1人100円頂きます。
ぐるっとまわってこちらが正面入り口。
「潮騒の湯」
湯?
てっきり食堂だと思っていたら、ここはどうやら温泉のようだ。
大洗と言えばお約束のガルパン。大洗女子学園の面々に出向かえられる。
入り口にはスタッフさんが立っていて「靴を下駄箱に入れたら鍵をレジに預ける」ようにと指示される。
言われた通り、下駄箱の鍵をもってレジに行くと、入浴客と勘違いされ、入浴料金を徴収されそうになる。
あわてて食事のみの利用であることを伝え、下駄箱の鍵を渡すと、番号が書かれた木札を渡された。
帰る際にレジに木札を返すと、下駄箱の鍵が戻ってくるのだそうだ。
へぇ。
でも、鍵と木札を交換するって、なんだか二度手間な感じがしなくもない。
店内の様子
時刻は10時30分。
広い店内はまだガランとしていて、先客2組のみ。
スタッフさんから「お好きな席へどうぞ」とすすめられて、窓際の卓に腰をおろした。
メニューを拝見。
お刺身、天ぷら、サラダ。
なんだかメニューがめちゃくちゃ多い。
あでメニューを書き起こすのが、めんどくさそうだ。
この大量にならぶメニューの中から、満足度の高い料理を探さなくては。
えーっと、こういうのなんて言うんだっけ? リテラシー?
ここはメニューを読み解くリテラシーが求められる場面、だよな。
きっとこの大量に並ぶメニューの中に、冬の休日に彩りを添えてくれるステキなランチが隠れているはず。
うどん、蕎麦もある。
でも、大洗まで来たのに蕎麦ってこともないだろう。
と、スルーしかけたが、意外とこういう店のこういうメニューの中に思わぬ掘り出し物が眠ってたりすんだよな。
海藻蕎麦あたりが、なんとなくアタリのような気がする。
大洗の冬の味覚といったらアンコウ。
だからせっかくなので、アンコウは食べておきたい。
唐揚げはパスするとして、アンキモかとも酢のどちらにしようか。
メインは魚料理の定食が無難そうだ。
テーブルの上の呼び鈴を鳴らすと、すぐさま店員が小走りでやってくる。
さっそく焼き魚定食を注文すると「ハイ! 焼き魚定食ですね!」と元気に注文を繰り返し、来たときと同じようにまた小走りで去っていく。
え?
いやいや、待ってくれ。まだ注文は済んでない。
「あの、すいません」
「あのー、すいませーん」と2回ほど大声を出して、小走りで去ろうとする店員を呼び戻し、アンキモととも酢を追加した。
本当はどちらか1つを注文するつもりだったのだが、なんだか気が動転して両方を頼んでしまった。
窓の外に広がる大洗の海。
ではなく、大洗サンビーチの広大な駐車場。それにクルマの陰で着替えるサーファーたちの姿。
うん、べつに悪くない。
ちょうど「今日は駐車場でも眺めながらランチを食べたいなぁー」なんて思っていたところだったから、むしろ良かった。
うん、おあつらえ向きのロケーションだ。
焼魚刺身定食+アンキモ+アンコウとも酢
注文して5分も待たずに料理が運ばれてきた。
鯛は尾頭付き、そしてなによりデカイ。
思わず「おおぉぉ・・・!」と声が漏れた。
素晴らしい香りが、鼻の奥をくすぐる。
お刺身は3点盛り。
ご飯は大盛り。
お米の粒が割れているのが多少気になったが、それでもふっくらと炊きあがっている。
なにより寒空の下をうろついた体には、ホカホカのごはんは無条件にありがたい。
盆の上には、なぜか巨大なUFOが載っている。
しかもこれ、アダムスキー型だ!
その隣のオレンジ色の球体は、おそらく小型宇宙船か、または脱出用ポッドだと思われる。
それにしても、さすがは大洗、こんなものまで水揚げされるのか!
UFOの中身はアラ汁だ。
矢追純一なシチュエーションに大興奮。思わず宇宙のロマン的なアレが暴発してテンション爆上げ。
これってグレイか? まさかラージノーズグレイのアラ汁なのか!?
しかし、残念。
てっきり新鮮なグレイ型宇宙人のアラかとおもったら、どうやら違うようだ。
まる一匹まるごとの鯛の塩焼き。
コイツがね、もうね、運ばれてきたときからものスゴくいい匂いを放っているワケなのですよ。
さすがは「腐っても鯛」なんつってね。
いや、この鯛はべつに腐ってはいない。それどころか、獲れたてのピッチピチな鯛。
ヒレにもちゃんと飾り塩が振ってあるのがスバラシイ。
大根おろしとレモン。
身はホクホク。
箸が鯛の身をほぐすたびに、たまらない香りが立ち昇る。
いやぁ、やっぱ鯛って美味いなぁ。
大根おろしと一緒にご飯をかっ込むこの幸せ。
絶妙な塩加減。それに焼き加減。
切干大根で箸休め。
これ、とっても好みの味付け。
飾りっ気のない素朴で優しい味わいがうれしい。
赤身の刺身はマグロっぽいけどマグロではない。
なんて魚だろ、ヒラマサ?
刺身はぜんぜん悪くはないけれども、まぁ別に無くても。
これなら焼き魚だけで十分だった。
それにかえって刺身があることで、ご飯の消費スペースが乱されちゃうんだよな。
この鯛の塩焼きは、頭の周辺、おもにエラのあたりにウロコが残っているのがちょっぴり残念な感じ。
でも、やっぱり美味いんだよな、なんてったて鯛だもん。
文句をつけたそばから言うのもなんだが、文句のつけようもない美味さ。
さてさて、お楽しみのアンキモ。
ポン酢をチョイとつけてひと口。
ものすごい旨みと濃厚なコクの塊り。こりゃお見事。
それにしてもアンキモ、はなっから食べやすいテリーヌ状になっているなんて。
アンコウってヤツはずいぶんと気が利くよな。
それにしても、儚い。
アンキモってのはなんて儚いんだろう。
口に含むと、とたんにアンキモは、舌の上でスルルとほどけて、跡形もなく消えてしまう。
口の中に余韻をほんのわずかに残して、いつの間にかノドの奥へと滑り落ちてしまう。
これが世にいう、イリュージョンってやつなのか。
アンコウのとも酢は、アンコウの7つ道具(キモ、胃袋、卵巣、身、ヒレ、皮、エラ)をアンコウのキモを溶いた味噌でいただく。
でもこれ、ご飯のおかずって言うよりは、どちらかと言うと酒の肴向けな気がする。
大洗の海を見ながらコイツをつついて、それで日本酒なんかをチビチビとやったら、きっと最高だろうな。
これはたぶん卵巣。
もしくは胃。
えっと、どっちだろう?
このワチャワチャしているのはエラ。
最後はふたたびアンキモ。
このアンキモ、断面がささくれ立っているのはなんでだろ?
口に入れたときのクリーミーさというか、舌触りの滑らかさが、ちょっともの足りない。
それでもまぁ、べらぼうに美味い。
駐車場を眺めながら、デザートのミカンで食事をしめる。
レジで木札を返し、下駄箱の鍵を受け取る。めんどうな二度手間。
でもこれってたぶん、食い逃げを防ぐためのシステムなんだろうな。
下駄箱のカギをレジに預けることで、帰りも必ずレジを通らないと店から出られないようにしているワケね。
「食い逃げなんてそんな昭和チックな犯罪、いま時あるの?」なんて思わなくもないが、きっとあるんだろう。
まったく、一部の不埒な輩のために、善良な一般客までもが面倒なシステムにつき合わせられるなんて、なんだかちょっとセツナイ。
まぁお店も自衛のために仕方なくやっているのだろう。
通路沿いのテーブルには生の魚介と、すでに調理済みの魚が並んでいる。
レギュラーメニュー以外にも、その日のオススメがある。
レジで下駄箱の鍵を受け取り、店を出た。
ふたたびネコとなって、店の建屋をまわって帰った。
潮騒の湯の基本情報
潮騒の湯の場所はこちら
駐車場はとても広いので、繫忙期でもなければおそらく満車にはならないと思われる。
目の前はサンビーチの駐車場だしね。
大洗駅からは2Kmちょっと。徒歩30分。
潮騒の湯の基本データ
住 所
〒311-1311 茨城県東茨城郡大洗町大貫町256−25
電 話
029-267-4031
営業時間
10時00分~22時00分
定 休 日
なし
Web Site
潮騒の湯のメニュー
※ 価格は2020年のもの。
税込み価格です。
お鍋
あんこう鍋
2,500円
かも鍋
2,000円
かき鍋
2,000円
塩ちゃんこ鍋
2,000円
海鮮チゲ鍋
2,000円
寄せ鍋
2,000円
おじやセット
+550円
うどんセット
+550円
定 食
あんこう鍋定食
2,300円
カレイ唐揚げ定食
1,200円
平目定食
1,300円
平目唐揚げ
700円
潮騒定食
2,300円
本日の定食
1,100円
刺身五点盛定食
1,300円
ロースカツ定食
1,300円
特大エビフライ定食
1,300円
焼魚刺身定食
1,500円
ビーフカレーセット
1,000円
刺身天ぷら潮騒御前
2,500円
エビフライ刺身定食
2,100円
ライス大盛り
+110円
どんぶり
ネギトロ丼
1,100円
まぐろ漬け鉄火丼
1,300円
イクラ丼
2,000円
うに丼
2,300円
大洗潮騒丼
2,000円
天丼
1,300円
あなご天丼
1,300円
生しらす丼
1,400円
うな重
2,300円
海鮮釜めし
1,400円
お子様メニュー
お子様ランチ
750円
スペシャルお子様ランチ
1,100円
お子様カレーセット
750円
ごはん
ライス単品
220円
ライス大盛り単品
330円
本日のみそ汁
330円
焼きおにぎり
500円
寿司御前
おまかせ寿司セット
900円
上生寿司御前
2,300円
麺 類
ざるそば
450円
ざるうどん
450円
海藻ざるそば
650円
海藻ざるうどん
650円
特大エビ天 ざるそば
1,100円
特大エビ天 ざるうどん
1,100円
かけそば
450円
かけうどん
450円
海藻かけそば
650円
海藻かけうどん
650円
月見そば
500円
月見うどん
500円
かき揚げそば
750円
かき揚げうどん
750円
特大エビ天かけそば
1,100円
特大エビ天かけうどん
1,100円
カレーそば
650円
カレーうどん
650円
そば玉
220円
うどん玉
220円
海藻そば玉
330円
海藻うどん玉
330円
鴨煮込みうどん
800円
牡蠣煮込みうどん
800円
もつ煮込みうどん
800円
あんこう煮込みうどん
900円
大洗はまぐりラーメン
1,000円
セットメニュー&トッピング
ミニねぎとろ丼
550円
ミニづけ鉄火丼
650円
ミニいくら丼
1,000円
ミニうに丼
1,200円
生寿司セット
700円
刺身五点セット
1,100円
かき揚げ
350円
生卵
60円
単 品
黒ソイの唐揚げ
1,200円
超特大アジフライ(2尾)
1,200円
イシモチの唐揚げ
700円
イシモチの天ぷら
700円
サバフグの唐揚げ
700円
特大ホッケ焼き
900円
真鯛カブト煮
700円
真イカの姿焼き
700円
クジラの竜田揚げ
750円
キンメの煮付け
800円
赤魚焼き
750円
あんきも
900円
あんこう友酢
1,000円
あんこう唐揚げ
700円
サーモンハラス焼
450円
銀タラカマ焼
700円
ブリカマ焼
時価
ブリステーキ
700円
カジキステーキ
900円
マグロ中トロステーキ
1,600円
つぶ貝浜焼
700円
姿ヤリイカ浜焼
800円
大エビ浜焼
850円
活サザエ浜焼
時価
活ホタテ浜焼
850円
大洗ハマグリ浜焼
時価
枝豆
300円
潮騒風冷奴
350円
お新香盛合せ
400円
いか塩辛
350円
もつ煮込み
500円
チョリソー
500円
マグロ生姜焼き
800円
イカキムチ
500円
タコキムチ
500円
チャンジャ
550円
海鮮キムチ3種
800円
おつまみセット
1,200円
ポテトフライ
500円
エビフライ
850円
とりの唐揚げ
500円
甘エビの唐揚げ
650円
アジフライ
700円
イワシフライ
600円
ロースカツ
750円
目光の唐揚げ
600円
あんこう唐揚げ
700円
いかげそ
600円
ゴボウ唐揚げ
500円
たこの唐揚げ
800円
カキフライ
700円
刺 身
マグロ
800円
ズワイガニ盛込み
1,200円
アジ
800円
甘エビ
700円
ボタンエビ
1,000円
赤イカ
700円
真鯛
800円
鯛と平目の2種盛り
1,200円
平目
1,000円
カレイ縁側
800円
大桶刺身姿盛込み(4、5人前)
3,500円
小桶刺身姿盛込み(2、3人前)
2,500円
船盛り
15,000円
サラダ
ミックス野菜サラダ
750円
海藻サラダ
750円
潮騒サラダ
1,200円
天婦羅
天ぷら盛込み
850円
白キスぷら
850円
野菜天ぷら盛込み
750円
穴子天ぷら
900円
ライスセット(ライス、味噌汁、小付け、お新香)
+550円
握り寿司
※ 一皿4貫
かんぴょう巻
450円
玉子
450円
かっぱ巻
450円
ねぎとろ
600円
甘エビ
600円
イカ
600円
コハダ
600円
サバ
600円
まぐろ
700円
サーモン
700円
海老
700円
貝寿司
700円
鯵
700円
穴子
700円
鉄火巻
700円
カレイのえんがわ
800円
鯛
850円
ボタンえび
850円
赤貝
900円
ひらめ
1,000円
いくら
1,200円
うに
1,200円
アンコウ鍋もありますよ。