みなさんこんにちは、jamです。
9月に入り、だいぶ気温が下がって過ごしやすくなりましたね。
ところでみなさん、さぬきの夢をご存じでしょうか。私は最近その存在を知りました。
さぬきの夢とは、うどんを愛する香川県、世間一般で言う所のうどん県の皆さんが、究極のうどんを作るため、従来の小麦に魔改造を施した最強のうどん粉なんだそうです。
そのさぬきの夢を使ったうどんを頂くことができるお店が桜川市にあるいうではありませんか。
つくばリンリンロードに集うサイクリスト達の胃袋を魅了し、そのうどんを食べた者はことごとくそのお店の虜になってしまうとか。
そんなサイクリストたちから絶大な支持を集める大人気のうどん屋さん。その名はあじさい。
9月といえば台風シーズン。この週末の3連休も台風17号のおかげで天気は超不安定。この天気、そしてこの強風なら、さすがの歴戦のサイクリスト達も走るはあきらめて家にこもってネトゲとかしているはず。だったら大人気のうどん屋さんも今日は空いているかもしれない。これはチャンス。
うどん県も認めた納豆県のうどん店 あじさい
桜川市のうどん屋さん、あじさいは、さぬきの夢協力店としてうどん県から認定を受けています。
何よ、そのさぬきの夢協力店って?
”さぬきうどん業界の3つ星レストラン”として「かがわ農産物流通消費推進協議会」が認定しているうどん店です
出典:さぬきの夢物語
関東でさぬきの夢協力店の認定を受けているうどん店はわずか7軒。
茨城県のうどん店に至ってはたった1軒のみ。そう、その唯一のお店があじさいです。
さぬきの夢で打ったうどんが食べられるのはあじさいだけってことです。さぬきの夢で打ったうどん。略して夢のうどん。
そして僕はあじさいを目指して旅立つ
実は私、ここ2年ほどお医者さまのご指導ならびにご鞭撻により、普段の生活の移動手段には徒歩または自転車を使うようにしています。なんせ痛風だしね☆
しかし、あじさいがある桜川市は、私が住んでいるひたちなか市から約40kmほどの距離。自転車での移動はちょっと、というか、かなりキツイ距離です。なので、今日は車で移動することに決定です。
そんなワケでして、車に乗るのは超ひさしぶり。ちょっと緊張しながら、久々に愛車、エンツォ・フェラーリのエンジンに火を入れます。
ご存じフェラーリ社が創業55周年を記念して製造したスーパースポーツカー。それがエンツォ・フェラーリ。
我が愛車は、それにあやかって私が勝手に名付けた群馬県生まれのじゃじゃ馬。
なんと「乗り出しコミコミ120万円」なりの超高級中古車。
世界中のスクラップ工場からの熱い視線を独り占めにするヤバイ奴(おもに電気系統)。
そんじゃ、桜川市を目指してさっそくGo!!
道中はとくに迷うこともなくお店に到着しました。なんせこちらのお店、JR水戸線 羽黒駅の真正面。非常に分かり易いロケーションです。
お店の駐車場に車を停めて車を降りると、お店のご主人と思しき精悍な男性から声をかけられました。
「いらっしゃいませ!そちらの暖簾が掛かっている建物の方へどうぞ!どうぞ!」
おやや、すんごく感じのいい方だ。事前のリサーチではこだわりのうどん店ということなので、何となくストイックな頑固おやじをイメージしちゃってました。
なんかすみません。
あじさいの入り口。
さっそくご主人の案内に従い、暖簾をくぐってお店に入る。
入り口を入ると右手に下駄箱。その上にはさぬきの夢協力店の登録証。本場うどん県が認められた店だけが持つホンモノの証。
しかし、それよりもまず度肝を抜かれるのは店内に流れるBGM。チャイコフスキーの白鳥の湖が結構なボリュームで流れています。
「あ、あれ、こっちはお店じゃなくって、プライベート空間なのかな?」と隠し切れぬ戸惑いを覚えつつ、靴を脱いでおじゃましてみる。チャイ子が聞こえてくるその部屋を覗くと、カウンターとテーブル卓が並んでいる。やっぱりここがお店なんだ。
カウンターは4席。先客は無し。つまりはどこ座ってもOK。そう、もちろんOKなんだけど、なんせこちとら生来の小心者。目には見えなくとも近い将来に必ず現れるであろうお隣さんに遠慮をして、カウンターの一番端っこに座る。白鳥の湖は、厨房への入り口の脇に置かれているレコードプレーヤーから流れていた。
手作り七味が250yen。
のちにレポートしますが、この七味が素晴らしい逸品。
壁にはおすすめのランチセット。特製カレーライスがめちゃくちゃ気になる。
壁に目を向けるとフライ3姉妹。
こちらはレギュラーメニューではないのかも。
コロッケ100yen、メンチ200yenの張り紙。なぜうどん屋にフライ物が?とても気になる。ひょっとして、コロッケ蕎麦的なやつなのか?
でも何より気になるのは店内に流れるチャイコフスキー。
麦茶。
すりガラスの模様がいい感じ。
オーダー
カウンターの上にはメニューが置かれていて、そのすべてのメニューには写真。それにそえて手書きの説明が書かれている。どれもこれも美味そう。一つに決めあぐねて、麦茶を運んでくれた奥様と思しき店員さんにおすすめのメニューを聞いてみる。
勧められたのは「肉汁うどん」。なんでも一番人気だとか。うん、たしかに美味そうだ。じゃ、それをお願いします。それと気になっていたメンチもあわせて注文。とても感じの良い奥様。
写真なんかを撮ったり、さぬきの夢のチラシを読んだりしながら、うどんが茹で上がるのを待つ。
その間、60代くらいのご夫婦が入ってきて、私が座るカウンターのすぐ後ろの席に座る。このご夫婦、ネイティブ茨城弁を流暢に操る。それに続いて30代くらいのお子さん連れのご夫婦もいらっしゃった。
しばらくすると、厨房の方からうどんを茹でる香りが漂ってきた。すかさずお腹の虫がグーグーと反応しだすんでちょっと恥ずかしい。
相変わらず店内に流れるチャイコフスキー。2回目の白鳥の湖がクライマックスに達するころ、ついにさぬきの夢はやって来た。お盆に乗ってやって来た。
さぬきの夢
肝心のうどんにピントが合ってない。
これがさぬきの夢。
これが讃岐の人々が夢にまでみた魔法の白い粉で打ったうどん。なにか見慣れないモノがうどんの天辺に乗っている。夢を運んでくれた奥様のご説明によると、ヨモギを小麦粉に練りこんだものだとか。
うどん汁は茄子、しめじ、油揚げ、ネギ、豚バラ。
私の実家では、うどんや蕎麦の汁に使う肉は決まって鶏肉だったので、豚バラってのは新鮮。醤油を吸ったネギ独特の香りが食欲を誘う。
メンチ
メンチが登場。
パン粉が大きい。噛むばザックザックの歯ごたえ。ツルツルのうどんと対を成す存在。
こちらのご飯はサービスとのこと。ありがとうございます。
肉汁と呼ぶに相応しいつけ汁。出汁は鰹、昆布、入子とのこと。そこに豚の脂の旨味がのってる。
肉汁にどっぷりと浸かったさぬきの夢を一口食べるとその旨さたるや、これまで食べてきたうどんの記憶を忘却のはるか彼方へとぶっ飛ばす。ってことはさすがに無い。そんなのはホントに魔法の粉。てか捕まる粉だ。ピエール的な粉だろ、それ。
つけ汁の塩気は強いが、ごん太のうどんに丁度よい。いや良すぎる。一番人気なのも頷ける。
このうどん、太くて確かなコシがあって、ツルツルで、間違いなく美味い。しかし、他の小麦粉とそんなに違うのか?と問われれば、正直分からない。もっと言えば、この美味しさの何処までがさぬきの夢によるうまさなのか、また、何処までが職人の腕によるものなのかが判別つかない。その2つのパラメーターがどちらとも高い値であることはわかるけど、それを分析できるような繊細な味覚を私は持ち合わせちゃいない。せいぜい私に言えるのは「このうどん、美味しいですよね」くらいのもの。なんだか実に申し訳ない。
うーん、この美味しさをスマートに伝えることができたらなぁ、なんて思いながら食べ進める。ずぞぞぞ。
ギュっと圧縮されたさぬきの夢。グルテン質が幾重にも重なった麺は噛めば強く抵抗する。奥歯で噛みしめると、醤油が効いただし汁と、小麦の旨味が舌の上を滑ってのどの奥にすべり落ちる。それを追いかけて鰹と小麦の香りが鼻から抜ける。
グルテンフリーなんて世の流れに真っ向から逆らうこのうどん。
カウンターの上にある「自家製七味」を掛けて、味に変化をつけてみる。何気なく振りかけたこの七味、実に薫りがいい。山椒、芥子、しそ、胡麻、麻の実、陳皮、青のり。使われている胡麻は黒胡麻ではなく、白胡麻。この七味、たぶん山椒と青のりが多いのかも。海苔の香りが強い。けっこう良いんじゃないの。
残りのうどんもペロっと平らげて、お汁も残さず全部頂いた。お腹は十分に満たされたけど、もちょっと、うどんが食べたい。
追加でもう一杯
思えば、かの肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域で産声を上げた農業。それは自然界に自生する食物だけを頼りに生きてきた人類の食生活を一変させた革命。そして、その最初の作物であった小麦。その革命から実に9000年の時と幾世代にもわたる人類の不断の努力をもって、小麦はここまでに進化した。
そして人類のその努力はついに今日、私のランチとなってその実を結んだのだ。
ありがとう小麦。ありがとう人類。
人類へ感謝をしていると、奥様が何かを手に持ってやって来た。
「あ、うどん湯をお持ちしたんですけど・・・あ、お汁・・・ぜんぶ飲んじゃいました・・・?」
えぇぇっ!うどん湯? そんなのあるの!?うどん県ではそれが普通なのか。
「あ、また今度にします。あ、うどん美味しかったです・・・」
奥に引き返そうとする奥様を呼び止めて、ぶっかけうどん(冷)を追加注文する。暖簾の向こう側に戻った奥様が、ご主人となにかやり取りした後に戻ってきた。
「ただ今、お客さんがたくさんいらっしゃっていまして、30分ほどお待ち頂く様になってしまうんですが・・・?」
と申し訳なさそうにおっしゃる。
あ、あ、全然おkっす。いくらでも待ちます。なんせこの後は別に用事ないんで。というか、この3連休まったく暇なんで。えへへ。
追加の注文をしたすぐ後に、背後の卓にカレーうどんが運ばれてきた。そのスパイシーな香りは反則だ。鰹とスパイスのイイ匂いは破壊力抜群。あぁ、カレーうどんも食べたかったな。
うどんの茹で上がりを待つ間、店の外に出る。改めてみてみると、店の入り口のわきには紫陽花。これが店名の由来なのかな。
お店の周りを観察すると、どうやら私が通された建屋とは別に、もう一つ建屋があるらしい。その別の建屋のなかでは、何人かのバイク乗り達が血糖値のレッドゾーンを目指しし、無心でうどんを啜りあげていらっしゃる。駐車場にはサイクリスト達のために用意されたサイクルラックが並んでいるが、台風接近中のためか、あいにくと今日は一台も止まってない。
適当に時間を潰してお店の中に戻る。
来ましたぶっかけ。
てっぺんの大根は鬼おろし。
ふつうの大根おろしより粗く擦られている鬼おろし。私はこいつが大好きなので、鬼おろし用のおろし金が欲しい。そんなに高い物でもないのだけれど、これ専用となるとちょっと手が出でない。だからこうして薬味で楽しめるのはありがたい。
野菜の天ぷら。
インゲン、ミョウガ、茄子、サツマイモ。右にある黄色いのは生姜。こちらにもヨモギがのってる。この時はじめて、このヨモギが葉を模していることに気づく。
徳利に入っただし汁を回しかける。天ぷらが美味いんでパクパク食べてしまったが、今にして思えばつゆと混ぜるべきだった。野菜には懐かしい苦みがある。昔の野菜ってこうだったよな。
先ほどいただいた肉汁うどんが醤油強めで関東らしい汁だったのに対し、このぶっかけは真逆の仕上がり。関西風と言っていいのか、出汁ファースト。塩気は控えめでこれも悪くない。てか美味い。
2杯目のうどんだけど、それでもするすると胃袋に収まっていく。だって美味いんだもん。
食べ終わってからようやく、割り箸入れの色がヨモギの色に揃えられているとに気づく。どうやら鈍いのは味覚だけではないようだ。
ごちそうさまでした。
まとめ
うどんが美味いお店。
思い返すと、またあのうどんが食べたくなる。不思議な中毒性。さぬきの夢とは、やはりタシロ的なアレな粉だったのだろうか?
あじさいのうどんが、どういう風に美味いのか、それを言葉で伝えられないのが我ながら情けない。
うどんはもちろんのこと、丁寧にとった出汁が美味しい。
次はよりシンプルな釜揚げか、ざるを頂いてみたい。シンプルなメニューなら、我がバカ舌でも、さぬきの夢の美味しさがもしかしたら分かるかもしれない。とは言え、カレーうどんも食べたいんだよねぇ。
あと、自家製七味を買いました。唐辛子が少なめで辛すぎず何にでも良く合う。なにしろ香りが良い。
帰りに店を出ると、ご主人がお客さんを見送るためにお外にいらしたのでちょっとだけお話をさせてもらいました。さぬきの夢ってどうなん?
「うどんにすると一番うまい小麦粉なんですけど、うどんを打つのは、むしろ他の小麦より大変なんですねぇ」へぇ。
そんなさぬきの夢で打ったうどん、ありがたく頂きました。また伺います。
あじさいのメニュー(ランチ)
次は生醤油うどんをいってみたい。
釜揚げ、カレー、釜玉バターうどんあたりが気になる。
あじさいの場所
このロケーションでは迷う方が難しい。駐車場はお店の前に5台ほど。近くを探せば車を停められるところも見つけられるかも。
サイクルラックは3つくらいありました。リンリンロードの始点(もしくは終点)となる岩瀬駅のお隣が羽黒駅です。
あじさいの情報
営業時間
11:00~14:30
17:00~19:00
定休日
火曜日
電話
0296-76-2088