猛威を振るう新型コロナウイルス。
現在、この未知のウイルスに対するワクチンや、治療薬はこの世の中には存在しない。
この恐ろしいウイルスに対抗する手段は、個人の免疫力に頼るしかないってのが現状だ。
そこで、免疫力の強化のためにもまずは栄養が必要となる。
栄養と言えば、トンカツだ。
トンカツよりも栄養がある料理なんて無いのだ。
だから今日のランチは、ひたちなか市の老舗のトンカツ屋、とん竹。
やぁ諸君、ごきげんよう。
ぼっちメシ研究所のジャムだ。
さて、さっそくトンカツを食べに行こう。
とんかつ とん竹
JR常磐線の勝田駅からひたち海浜公園へと向かう昭和通り。通称33道り(さんさんどおり)。
この33道り路沿いに、とん竹がある。
ひたち海浜公園まですぐそこ。
くもり空の下、自転車に乗ってとん竹へと向かう。
可愛らしいブタさんをあしらったとん竹の看板。
ブタさんが通りを行く人々に愛想を振りまいている。年季が入った笑顔で。
なんて愛らしいブタさんだろう。
この表情をよく見てやって欲しい。
実に癒される。
この表情(かお)が見たくてとん竹に来たのだ。
店の入り口に暖簾はなく「営業中です」と書かれたオレンジの看板が出ている。
なんとなく喫茶店ぽい雰囲気がありあり。
昔ながらのトンカツ屋って感じの店内。
テーブルとテーブルの間隔はとても広くとられている。
そしてテーブル席はすべて大きな窓に面していてとても明るい。
カウンターが有ることには有るのだが、ほぼ物置になっている。
お好きな席へどうぞ、と促されたので、とりあえず壁際にある2人用のテーブル席に落ち着く。
店の奥には座敷があるようだ。
カレンダーは2月。なんで2月なのか?
それはこの店に行ったのが2月なのだから、当然カレンダーは2月。
ロースカツ 竹
テーブルに備え付けらているメニューを拝見。
最も安いメニューはカツ重定食の950円。
それに続くのは豚ロースを使ったメニュー群。しょうが焼き、おろしカツ定食。そしてゴマすりロース定食。
つねづね不思議に思うのだが、油で揚げたトンカツに、さらにひと手間かけて作るカツ重が安いのはなんでだろう?
どう考えても「素のトンカツ」より手間のかかる「カツ丼」や「カツ重」が安いって事実が納得できない。
いったいどんな理屈なんだ? 積年の疑問。
なにげに税込み価格なのがうれしい。
「はい、どうぞ」
女将が熱いお茶を運んで来てくれた。
トンカツと言えばだんぜんロースだ。ロースに決まっている。
とん竹では使用する豚肉の大きさによって3つのランクが分かれる。
いわゆる松・竹・梅。
しかしよく見ると、メニューに書かれているのは松竹梅ではなく、梅松竹。
一番いいお肉を使っているのは竹のようだ。
とん竹ゆえに、松よりも竹が最上級なのだろう。
ゴマの入った小さな擦り鉢が運ばれてきた。
「擦ってまっててね。ソースは最後にね」
ソースは最後に入れるのか。
「ソースは最後に混ぜてね」
と、念をおされた。
うん、じゃあソースはいれずにゴマを擦ろう。
それにしても、このゴマがまたいい香りがしやがる。
これ、擦すまでもなくトンカツにパラパラかけて食べればいいんじゃない?
なんて思いつつも、スリスリスリ。
ゴマ擦りは、得意だからね。
窓辺に飾られているお花を眺めながら、ゴマをスリスリ。
これくらい擦れば、そろそろソースを入れてもいいのだろうか。
それにしたってこのゴマ、擦れば擦るほどこうばしい香りが立ちあがってきて、食欲がビンビンに刺激される。
早く肉を持ってこーい!
思いは通じるものだ。
「はーい、おまちどうさまー」と女将がロースカツの竹を目の前に並べてくれた。
山のような千切りキャベツのグリーンを枕にして、褐色で大判なトンカツが横たわる。
絶景かな、絶景かな。
竹の青。
淡いグリーンに包まった割り箸。
この色はグリーンなんだけど、竹なのだから青と表現するべきか。
緑と青の中間的な色合い。
つまりは竹っぽい色合い。ただならぬ竹愛を感じる割り箸。
具だくさんなお味噌汁って好きじゃない。
味噌や出汁の風味が分からなくなって、なんだか味噌煮込みっぽい感じになるから、好きじゃない。
そして、とん竹の味噌汁は具だくさん。
ところがこの味噌汁が悪くない、というより美味しい。
具だくさんだけれども、具材の1つ1つが非常に薄切りにされているからウルサクない。
イイじゃないか。エエじゃないか。
美味しいじゃないか。
小鉢はモヤシとワカメのナムル。
シンプルだけど、だからこそ良いのだ。
小鉢ってのはこうでなくちゃいけない。
変に凝った小鉢を出されても、それはそれで小鉢で気が散ってしまい、トンカツに集中できない。
小鉢ってのは、これくらいが丁度いい。
大きな豚ロース肉は、その中央に包丁が走っていて、縦に割ったお肉が「く」の字を描いている。
だからパッ見で受ける印象よりも、実はだいぶお肉が大きい。
目の細かいパン粉が下地になっていて、その上に粗目のパン粉がまぶされている。
いがいと繊細なお仕事。お見事。
ひと切れをつまんで断面の様子を見てみる。その断面はツヤツヤ。
ロースらしい脂身がテカテカと輝いて、たまらなく美味そう。
いや、じっさいのトコロ、美味しいお肉。
手前がトンカツソース。
奥は醤油かと思ったけど、ウスターソースかもしれない。
いかにも民芸品って風合いを醸し出す器。
大きな皿の上に広がる黄金色に輝く肉の大地。
その大地の恵みに、わりと雑にソースを回しかける。
アツアツのトンカツにぶっかけたソースからは甘酸っぱい香りがふわぁーっと立ち昇る。
この香りが鼻先と、そして胃袋をガンガンに刺激してくる。
たまらない。このソースの香りがたまらない。
和辛子。
トンカツといえばコレ。
こいつが無くっちゃ、なにも始まらない。
ピンポイントに登場して、料理を絞め直してくれる。
たっぷりと回しかけたソース。
をのトンカツに、やっぱり雑にカラシを塗ったくる。
甘くて、辛くてツーンとくる。
その余韻が残っている口の中にご飯をかっこむ。
うめー!
ああ、美味い。豚肉、ウマイ。
噛むほどに美味い。
このさいテーブルマナーだとか、常識だとか、そんなことを考えるのは無しにしよう。
パン粉をまとった豚肉、そのパン粉の隙間から脂がじゅうっと染み出す揚げたての豚肉のカタマリを前にして、理性なんて何の意味もない。
そういえば、トンカツってどれくらい咀嚼するんだっけ?
トンカツって、何回噛んだら飲み込んでいいんだっけ?
あまりの美味さに、そんなことも忘れてしまう。
ずっとこの美味さを噛みしめていたい。でも、美味さをのみ込みたい。
噛みたい、のみ込みたい。
噛み続けるべきか? のみ込むべきか?
しかし美味いトンカツがゆえに決断できない。身もだえするほどに葛藤する。
ああ、トンカツ、なぜにそんなに美味いのか。
中和、中和。
白いご飯で中和しなくては。
ご飯は柔らか。
も、ちょっと粒感のある硬めの米が好きではあるのだけれど、充分に美味しいお米。
豚肉の脂身って正義だ。ジャスティスだ。
コロモをザクザクと噛みしめると、ロースから豚の旨味と脂がジュワワーと溢れだす。
これこそが正義。きっと正義にパン粉をまぶして油で揚げればトンカツができるんじゃなかろうか。
トンカツの相棒といえば、もちろんその王道はキャベツ。
ルパンの相棒といえば次元大介。
ゴンの相棒はキルア。
翼くんの相棒は岬くん。
タカの相棒はユウジ。
トンカツにとっての相棒は、やはり何と言ってもキャベツだろう。最高の相棒。
誰も異論はない。真理だ。この世界にただ一つ真理があるとすれば、トンカツにはキャベツこそが最高の相棒だということこそが真理なのだ。
そして、キャベツに最もマッチするドレッシングといえばトンカツソース。
トンカツに添えられたキャベツには、マヨネーズやドレッシングじゃダメだ。それじゃダメダメなのだ。
最高の相棒は、ソースをぶっかけるコトによって完成する。
トンカツ&キャベツには、ソースが絶対の正義なのだ。
豚肉に小麦粉、卵、パン粉をまぶして油で揚げる。トンカツ。
たかだか豚肉をたべるのに、ずいぶんとメンドクサイ工程を辿る。
ぶっちゃけ、トンカツってやつは家で作るのが途方もなく面倒くさい料理。
こんな面倒くさい料理は作ってもらうのが一番。
それだけでも金を払って食べる価値がある。
いったん箸休め。
モヤシとワカメなんてシンプルで安価な食材。それにゴマ油と砂糖、それに醤油をまぜるだけでこんなに美味しくなるもんかね。
シャキシャキとして美味い。口の中を優しく癒してくれる。
文字通り箸とお口に、ひとときの安らかな安息を与えてくれるお口直し。
パセリとレモン。
最高の脇役たち。この舞台におけるキャスティングとしてこれ以上の存在はないだろう。
女将は、近くのテーブルに座る常連ぼっちと世間話をしている。
トンカツを半分ほど食べたころ、女将はこちらにやってきて「ごはん、おかわりは?」と声をかけて来た。
なんて絶妙なタイミング。
もちろん! おかわりをお願いする。
おかわり。
なにせ、まだトンカツは半分以上も残っている。
この白いご飯をやっつけるには十分な兵力を残している。
圧倒的じゃないか、我が軍は。
さぁ、後半戦のスタートといこうか。
あぁ、それにしても、トンカツという料理を芯から楽しむためには健康であることが大事だな。
暴論なのは承知で言えば、心身ともに健康でなくては、トンカツって料理は楽しめない。
健康であるからこそ、この乱暴で脂まみれな料理が美味しいんだ。
だってトンカツって結構ハードな料理だ。
サクサクのコロモはいつでも上あごの内側を攻撃してくるし、もしあなたの胃腸が弱ければ、この脂に塗れたサイコーの料理を無意識に避ける。
また歯に問題を抱えている方なら、サクサクのコロモに覆われた厚い豚肉を食べようなんて思わないだろう。
だから逆に言えば、トンカツが美味しいと感じられるのなら、心身ともに健康なのかもしれない。
白菜とカブのシンプルなお漬物。
トンカツ軍と白飯軍が真っ向から激突する戦場。その戦場の陰に咲く一輪の白い花。
なんて可憐な存在なのだろう。タンパク質、脂質、炭水化物どもがぶつかり合うこの戦場の中で、唯一の癒し。
カブのお漬物が大好きなのさ。
時間が経ち、すりゴマをまぜたソースが馴染んで「くた」っとしたコロモ。
できたてのパリっと感を失いつつも、どこかコナレタ感じを出している。こんなのもトンカツの魅力なのかも。
たるんだ衣にカラシをべったり塗りたくり、シャッキリと味を絞め直す。
うーん、美味い。
トンカツを、豚肉を、豚ロースをばっちり堪能した。しつくした。
食後にはコーヒー。
尖ったところは別にない。際立った個性はない。
とん竹は、普通にどこの町にもあるトンカツ屋。
でも、だからいい。
トンカツ食べたいなって気持ちと欲求を100%に満たしてくれる。
このちょうどイイ感じ。
ちょっとトンカツ食べたいなって気分の時に、ちょうどイイこの感じ。
そんな欲求を、ちょうど良いぐあいに満たしてくれる。普通のとんかつ屋だ。
海老フライ
この日は雨で、他にお客さんの姿はない。
カメラをバッグから取り出してレンズキャップを外すと、レンズが真っ白に曇った。
店内は、ちょいと湿度が高め。
そのせいで写真はちょっと白っぽい。
まぁ、雨だからしょうがない。
なんとなく海老フライな気分。
豚肉も良いけど、海老ってのも悪くない。
サクサクのコロモをまとったプリプリの海老。すごくいい。想像するだけで、とてもイイ。
それに第一、トンカツ屋でトンカツを食べてきましたって、そんなの当たりまえ過ぎてなんだか芸がない話じゃないか。
つまり、そんなレポートなんてものには価値が無い。そう、無価値なのだ。
だからトンカツ屋で「あえて」海老フライを食べてきましたってレポートこそが、真にバリューのある情報といえよう。
そんな理屈をコネにこねくり回して、今日のランチは海老フライに決定。
注文を済ませ、お茶を飲みながら料理の到着を待つ。
最初に運ばれてきた小鉢は山菜。
とくに、どうってことは無い輸入物の山菜。
おやおや、ちょっと手を抜きすぎてないのか?
さらに小鉢が運ばれてくる。
なんだコレ? ワサビ漬け?
しかしワサビ漬けにしちゃ、ちょっと量が多い。
メインのエビフライの登場が登場。
いいじゃないの。
色良し、カタチ良し、香り良し。の三拍子がバッチリ決まってる。
三尾の海老フライ。
高く持ち上げた尾翼。
その姿は、さながら青い空の中を編隊飛行する戦闘機のような美しさ。
まるで今すぐにでも飛び立ってきそうだ。
なるほど、コレがホントの海老FLYってか。
てか。
このピンッと立ったしっぽがまたいい。
もちろん尻尾まで食べる派だ。
海老フライのインターバルにキャベツを摘まむ。
シャキッとしたキャベツ。実に優等生。白いYシャツの襟がピンとしている感じ。折り目正しき優等生。
キャベツの山をよく見ると、小さな氷の破片が入っていた。
千切りキャベツは、ちゃんと氷水で絞められているんだ。
私でも千切りキャベツは水には浸ける。でも氷水には浸けない。だって面倒だ。
キャベツのシャキシャキ感のために、わざわざ氷をつかうなんて。めんどい。
しかし、やはりトンカツのプロの店は違う。ちゃんと氷水でキャベツを締め上げている。
なんてマジメさ。手抜きなしだ。
そのおかげでキャベツは、パリッパリのシャッキシャキ。
ただのキャベツがやたらと美味い。
まずはソース。
ソースをまとったエビフライは、茶色の濃淡カラーとなって、なんとなく迷彩っぽい。
カモフラージュ柄。
しかし、その程度のカモフラージュでは、私の食欲レーダーをかいくぐる事などできない。
「ワレ、敵機ヲ補足セリ。コレヨリ迎撃ニ向カフ」
美味い。
海老のフライって美味い。
アツアツでホクホクのエビフライ。
たまらない。
次なる標的を決めて、サーッとソースをぶっかける。
と思ったら、これは醤油か? いやいや。
この香りはソースだ。ウスターソースだ。
トンカツソースよりもサラっとしたウスター。これもあり。
文句ない。
サラサラのウスターも良くなじむ。
海老フライの懐の深さに恐れ入る。
白飯の塹壕がどんどん削られる。
お漬物で一服。
ここでワサビ漬けと思しき小鉢に箸を付ける。
で、食べてから初めて気が付いた。
コレ! これはタルタルソースだ!
海老フライといえばタルタルソースだ。
当たり前じゃないか。なぜに今まで気づかなかったのだろう?
自家製タルタルソースはざく切りのタマネギとピクルスがふんだんに入っている。
たっぷりと海老フライにぶっかけて頂く。
最高かよ!
相変わらず味噌汁が美味しい。
コーヒーで絞め。
ヒレカツ
開店直後。
まだ他の客の姿はない。
いつものように2人掛けのテーブルに座る。
トンカツは断然ロース派なんだけど、今日はなんとなくヒレカツを注文してみる。
注文を取りに来た女将に「並みと上って何が違うんですか?」と聞いてみたところ「大きさ」とシンプルな答え。
なるほど、そうか。なら話は簡単だ。肉はデカいほどイイに決まってる。
ということで、上ヒレカツを頂く事にしよう。
店の前には33道路。
JR常磐線勝田駅から国営ひたち海浜公園をまっすぐに繋ぐ道。
春のネモフィラや、夏のロックインジャパン、秋のコキアの時期には、たくさんの観光客がここ、ひたちなか市を訪れる。
33通りの道沿いにある飲食店は、観光客たちのお腹を満たし、そしてその対価としてお金をたんまりと稼げる絶好のロケーション。
本来であれば、そうだった。
しかし、勝田駅から海浜公園までは、観光客を乗せたバスがノンストップでピストン輸送する。
そのため、鉄道の利用客たちは、この33通り沿いのお店に立ち寄る事はない。できない。
また、クルマでひたち海浜公園にいくのであれば、最寄りの高速道路I.Cを使うと、この33通りを走る必要はない。
つまり、絶好の観光スポットの近くに店があるのにも関わらず、この道沿いに立つ店にとってはなんのウマミもない。
33通り沿いの飲食店は、ひたち海浜公園に向かうバスの車窓から眺める風景の一部。
ひたちなか市を訪れる観光客にとっては。
残念なことに、この33通り沿いの飲食店たちは、ひたち海浜公園が生み出す経済的な恩恵を一切受けることがない。
さて、ゴマが擦りあがった。
お持ち帰り用の弁当が詰まったカゴ。
女将が空いているテーブルに置いた。
すると間もなく、中年の男性客が店にやってきて「できてる?」
メニューには書いていないが、どうやら弁当のテイクアウトができるようだ。
「お弁当もやってるんですか?」と女将に聞いてみる。すると
「そー、トンカツのお弁当。それと、お団子」
「お団子が美味しいって、褒めてもらえるのよー」とのこと。
えぇ、メニューにないじゃん。お団子。
この後、別の女性客がやってきて、10人前のトンカツ弁当と、10人前のお団子を買っていった。
女将が「はーい、おまちどうさまー」とトンカツを目の前に並べてくれる。
実に、すばらしい眺め。
それにしても、エエ眺めや。
トンカツ。
誰もが大好きな王道中の王道メニュー。
今さらながら、トンカツってのは完成された料理だなぁ、と思わずにはいられない。
完成された料理にとっぴなトリックなんていらない。いまさら余計な工夫なんて要らない。
例えば、ミケランジェロの彫刻にペンキを塗ったくってポップアートにしたとしても、そんなモノがいったい誰の心に響くのだろうか。
プレーンで良いのだ。
完成された料理であるトンカツに、これ以上の工夫が入り込む余地などない。
ただ、ただまっすぐなトンカツが食べたい。サクサクのコロモをまとった豚肉。シンプルに美味いトンカツが食べたい。
いや、あった、工夫の余地があった。
それは胡麻だった。
ゴマという食材ってなんだか良家の子女って感じがする。前に出すぎないのに、ちゃんと存在感がある。
それにしてもゴマ。こんな小さなタネを食材にしてきたな、と感心する。
辛抱強くスリスリしたゴマダレをぶっかける。
ソースの分量が少なめだったせいか、ちょっと伸びが悪いゴマソース。
ガブっとやるとコロモ、豚肉、ゴマソースが口の中で爆ぜる。
伸びは悪いが、その分濃厚。悪くない。
ああ、ゴマダレ。
ズドンと打ち抜く。まっすぐに、胃袋を打ち抜く。
まるでデザート・イーグル。
もしくは44マグナム。
安定感バツグンの味噌汁。
今日の小鉢はキンピラゴボウ。
ゴボウのシャキっとした歯ごたえ。
控えめで前に出すぎない白ゴマと唐辛子の風味がとても良い。
トンカツといえば、どうしたってカラシは外せない。
青いお皿の上に添えららた黄色いカラシ。
この青と黄色のコントラスト。
この青と黄色の組み合わせを見ると、どうしても名作映画『幸せの黄色いハンカチ』を思い出してしまう。
青い空をバックにはためく黄色いハンカチ。
黄色いハンカチは幸せの象徴だった。
そしてここ、とん竹では黄色いカラシが、皿の上に幸せを運んでくれる。
うん、イイ。
すりゴマがちょいと固め。も、ちょっとソースを加えてればよかったか?
いや、これはコレでアリだ。
脂肪分が少なめなヒレ肉に、こってりとしたすりゴマがとても良い。
そういえば、とん竹の揚げ物はすべて軽いサックリ感がある。
きっといい油を使っているんだろう。
40代半ばの死にかけの私の胃袋にも優しいくて、腹の中にまとわりつくような感じは一切ない。
これ、揚げ油はラードなのかな?
ご飯をガッツリ系の揚げ物なのに、とてもヘルシーな食事をしている気にさせてくれる軽やかさ。
こういうのが熟年の技ってやつよね。
こちらも安定した美味しさのお漬物。
しっかりと乳酸発酵した美味さがある。
なんなら、これだけでもご飯をモリモリとイケる。
さらっとしたウスターソースで、さっぱりとしたヒレ肉を楽しむ。
付け合わせのレモンをギュギュギュっと絞って振りかける。
レモンの酸味が、柔らかいヒレ肉にとても良く合う。
ソースを吸って、やがてフニャっとしてくるコロモってのもイイものだ。
ああ、トンカツ。
美味い!
とん竹の基本情報
とん竹の場所はこちら
ひたち海浜公園の西ゲートから1.6km。徒歩20分。
勝田駅からは4.5km。とほでほぼ1時間。
距離的にひたち海浜公園の西口から歩くか、またはクルマで行くかですな。
駐車場はお店の前と、お店の隣にある。
10台以上は余裕で停められる。
とん竹の基本データ
住 所
〒312-0012 茨城県ひたちなか市大字馬渡昭和通り3246−2
電 話
029-274-6800
営業時間
11時00分~20時00分
定 休 日
火曜日
とん竹のメニュー
※ 価格は2020年03月のもの。
お食事
カツ重定食
950円
ロースしょうが焼き定食
1,150円
ロースおろしかつ定食
1,230円
ゴマすりロースとんかつ 梅
1,200円
ゴマすりロースとんかつ 松
1,550円
ゴマすりロースとんかつ 竹
1,950円
並 ヒレかつ定食
1,650円
上 ヒレかつ定食
1,980円
海老フライ定食
2,000円
海老フライ&ロースかつ
1,850円
海老フライ&ヒレかつ
1,850円
海老フライ&生姜焼き
1,850円
ソフトドリンク
コーラ
320円
オレンジジュース
320円
レモンジュース
320円
レモンスカッシュ
350円
ソーダー
350円
ホットコーヒー
300円
アイスコーヒー
300円
アルコール
ビンビール(大)
700円
生ビール(中)
600円
生ビール(大)
700円
日本酒
450円
おつまみ
フレンチポテト
400円